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こころ

相談77:母と価値観が全く合いません

2019.10.18 Fri

親との関係について相談です。私は大学生です。親と(特に母と)価値観が全く合いません。

私は別に結婚したいとか、子供が欲しいとか思わなくて、バリバリ仕事をやっていきたいなと思っています。この考えは中学生の頃からずっと思っているのですが、このことを母親に話すとものすごくキレられます。女は結婚するべきだとか、孫の顔を見せないなんて親不孝だとか。

また、私は大学受験に失敗してしまい、滑り止めの大学になってしまったのですが、その時も、受験料が無駄になった、こんなことだったら男である弟にお金を回した方が有意義だ、というようなことを言われました。浪人することも、女だから、という理由で許してくれませんでした。

なんで、こんな親なんだろうと悲しくて、悔しくてたまりません。大学ももっといい大学に合格できていたら見返せてやれたのに、と思うとものすごく無気力になってしまい、毎日辛いです。(あいか・19歳)

回答

回答77:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

あいかさん

娘が自分らしく生きたいと思うことを、母親が阻害してしまい、伝統的な役割を押し付けてくることを、私たちフェミニストは、「母・娘問題」として問題化してきました。私たちは、娘には自由にわが道を羽ばたいてほしいと願っているから。

でも、自分はどう生きたいかとか自己実現などは考えなかった(あるいは考えてもできなかった?)母親は、自分と同じような道を歩いてほしい、歩くべきだと思ってしまいがちです。ために娘が葛藤するのですね。もちろん母親の肩を持ちたいわけではありません。あなたの辛い気持ちはよくわかります。

ただ、これを母親と論争することは良いアイディアとは思えません。なぜなら、母親は学費を払い、食べさせてやっているのに親不孝だと責めるから、怒りとともにあなたのなかに罪悪感が芽生えてしまいます。これが「自立的」な娘たちが葛藤し苦しむ根幹です。

今は、何を言われようと黙ってあなたのやるべきことをおやりください。愛情がない、冷たい、支配的だと思われる感情は、ちょっと置きましょう。母とは距離を取って、目下の大学を卒業して、それからの今後を考えることはできますから。とりあえず、目下自滅的になっているご自身を救ってあげて。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。

タグ:くらし・生活 / 河野貴代美 / フェミニストカウンセリング