こころ
相談14 外で働くのが苦手 で主婦を選んだけれど、仕事人間の夫の家政婦なのかと空しく なる毎日
2011.06.29 Wed
2歳と0歳の子どもを持つ30代の専業主婦です。夫は周りが羨む3高。しかも子ども好きなので、育メンになるのではと期待していました。
ところが実際は仕事人間で、土日はおろか盆暮正月も家にいません。夜は疲れているのでろくに話もせず寝てしまいます。夫がいくら働いても、私が自由に使えるお金は変わりません。私より年上のせいか、家では当たり前のように私を使います。また全てのことをやりっぱなしにするため、夫がいるわずかな時間で家の中がひどく散らかり、それを見る度に具合が悪くなります。夫が汚したものをいたちごっこのように片づけながら、私は夫の家政婦なのかと空しくなります。私の小言は短気な夫の怒りを買うだけで、もう喧嘩をするもの疲れました。
私は両親から「結婚しても仕事を持ち、自立して生きるべきだ」と言われて育ちました。ですから、仕事を辞めた自分が間違っているような気がしてなりません。けれど、私は人づき合いが苦手で外で仕事をするのは苦痛です。子どもは自分の手で育てたいですし、私の給料では子どもの保育料の方が上回ります。私が働いたところで、夫が生活態度を改めるとも思えず、家事・育児・仕事の全てをこなす体力もありません。夫は仕事ができる人で、同じ時間を使って私の何倍も稼げます。ただ、経済的に頼っている以上、夫と対等の関係は望めないのでしょうか。どうしたら夫の態度にイライラせず、仲良く暮せるものかと悩んでいます。
(調布市・34歳・女性・専業主婦)
回答
相談14 回答
小さな子どもがいて夫は仕事人間、いろいろなことが、不如意という「専業主婦」の焦燥感がよく伝わってきました。たぶん私の回答などより、よく似た状況下の方の、「わかる、わかる」という共感のほうが、あなたには良薬のようにも思われました。というのも、私が回答に困っているからです。
あなたはお書きになって何か感じられませんでしたか?夫はあなたの見込み違いの人で、疲れるぐらい小言を言っても彼は変わらず、あなたは仕事をし続けようと思っていたのに辞めてしまい、小さな子どもがいて、なかなか仕事がない(とはお書きになっていませんが、それが現実)、あっても、人付き合いが苦手で、外での仕事は苦痛だ、と。つまり袋小路なのですね。相談しているけれど、実は出口はないのです、と自らおっしゃっておられることに気がお付きになるといいのですが。あなたの人生、八方塞だと感じておられるその人生に他人の私が口を挟む余地などないのですね。専門家なら出口を見つけられるでしょう、と期待されているなら(それも八方塞状態から、仲良く暮らせるという八層飛びみたいな期待)それは違うと申しあげておきます。
出口が全部ふさがっているという発想にちょっとでも風穴をあけるには、そのヒントをいただかないと、専門家といえども無力です。あなたの人生を変えるのはあなたしかいませんから。ところで専門家(その端くれである私も含めて)という人にあまり期待してはいけません。
期待して欲しそうな人ほど信用しないほうがいいですよ。原発問題の専門家が何をしていたのか、問題視されていますよね。ごめんなさい、話がそれました。
で、最初に戻って、専業主婦(あるいは子育てのグループ等)の話し合いとかつながり的なサークルに出てみてください。地域にはたくさんのそういったグループがあるはずです。たとえばこのサイトにある「全国女性センターマップ」には「むさしのヒューマン・ネットワークセンター」「スクエア21・府中市女性センター」「三鷹市女性交流室」や「調布市男女共同参画推進センター」がリストされていますが、こういうところでお尋ねになればなにか手がかりが得られないでしょうか。そこにはあなたが「状況が似ている」と思われるような、たぶん人付き合いいが苦手と思っておられるような方々がいらっしゃると思います。そこで、「わかる、わかる」と言ってくれる同じような人たちに出会ってみてください。きっと何かの力をえられるでしょう。
「でも私、人付き合いが苦手です」とおっしゃりそうですね。それはわかっています。でもやってみて。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。