法律
相談64:孫の日本国籍取得について
2020.10.11 Sun
私の息子は、スペイン人の妻と2才の子どもとともにスペインに在住しています。
息子夫婦は孫の日本国籍を取る手続きをしていなかったために、孫はスペイン国籍だけで日本国籍がありません。私自身が子どもの父親とは事実婚で子どもは私の籍に入っているので、息子は法的に結婚しているのですが母親の籍に子どもは入っていればよいと軽く考えていたようです。また、これまではEUと日本はビザなしで行き来できたので国籍のことを真剣に考えてなかったためでもあります。ただ、コロナ以降、EUから日本に入るにもビザが必要になり、国籍を取っておくことの大事を思い知ったようです。
この2才の孫が、スペイン籍を失わずに日本の国籍をスペイン在住のまま取得する方法があればお教えください。日本にいなければできないということであれば、年内に2ヶ月ほど一時帰国する予定ですので、その時に手続きするように勧めます。
回答
回答64:藤原真由美さん(弁護士)
あなたの息子さんが日本人、その妻がスペイン人の場合、そのお子さん(あなたにとってはお孫さん)は、出生と同時に、スペイン国籍とともに日本国籍も取得することになります(スペイン国民法17条)。しかし、この重国籍状態はいつまでも認められるものではありません。日本と同様、スペイン法でも国民には「国籍選択義務」があり、「生まれてから3ケ月以内」に日本国籍を留保する意思を表示した出生の届出をしないと、お孫さんは出生の時に遡って日本国籍を失ってしまうのです(国籍法12条)。ご質問を読んだ限りでは、この「日本国籍留保」をしていない可能性が高いように思われます。この点、重要な分かれ道ですので、息子さんに確認してみてください。
もしこの「日本国籍留保」の意思表示をしていれば、お孫さんは今の時点で日本国籍も持っていることになりますよ。ただ、お孫さんは、22歳になるまでにスペインか日本か、どちらかの国籍を選択しなければならない(国籍法14条)ことも、念頭に置いておいてください。
回答者プロフィール
藤原 真由美
弁護士登録から34年。様々な民事・刑事・家事・行政事件などに奔走してきました。立川市にあるひめしゃら法律事務所に所属してからは、女性からの相談、特に離婚や相続をめぐる相談を多く受任し、とりわけ離婚後の生活に不安がないような解決をめざして奮闘しています。
立川市・国分寺市などの市役所法律相談や、調布市女性相談を歴任し、弁護士会の副会長・支部長などの役職経験も豊富です。
タグ:貧困・福祉 / DV・性暴力・ハラスメント / 非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 女性政策 / 子育て・教育 / DV / 法律相談 / くらし・法律相談
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