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キャリア

相談28: 50代看護師。看護師と医師の関係を対等にしたいのですが・・・

2022.09.10 Sat

50代の看護師です。病院では医師が上で看護師は補助的な立場にあります。パワハラも
あります。仕事内容は違うはずなのに医者の手伝い扱いで、それを受け入れている看護
師がとても多いです。医者は忙しいから医者に近い手技のできる看護師を育てて行こう
という制度も始まっています。給料にかなりの差があるにもかかわらず責任ばかり増え
ていきます。

対等でありたいのですが変わりません。どうすればこの環境を変えることができますか

回答

回答28:重原 惇子さん(キャリア・カウンセラー)

ご質問者は、長く看護職に携わっていらしたのでしょうか。
文章の端々から、ご自身の仕事に対する自負が感じられました。

命を左右する現場におられるのですから、大変だけれども大切なお仕事だと思い
ます。
特にこのコロナ禍では、過酷な環境での勤務を余儀なくされることも多かったとことで
しょう。
文字通りの「エッセンシャルワーカー」に、私たち市民は本当に感謝しています。

ただ、同じ医療従事者の中で厳然たる上下関係があるとも聞いています。
それがあなたのおっしゃる「医師が上で看護師は補助的な立場」という現実だと理解し
ました。

そこで私は、「事実」と「感情」を分けて考えてみることを提案します。

まず「事実」の確認です。
患者として思い返してみると、確かに医師がしてくれることと看護師がしてくれること
は違っていました。
医師と看護師の業務内容が異なるということですね。
であるのに、医師業務を看護師がサポートすれば、それに伴って責任も発生すると考え
られます。一般的に責任の多寡は、給与の多寡に比例します。

医師が看護師を手伝い扱いするということは、医師にとっては好都合という側面もある
でしょうが、看護師サイドからは、責任が増大するといえるでしょう。

病院勤務とのことですが、あなたの意見に同調される方はいらっしゃいませんか?
仕事内容を客観的に職場全体で見直すという働きかけをされてはどうかと思いました。

続いて「感情」についてです。
あなたは対等な関係を望んでいらっしゃるのに、現実は不平等でありそれを易々と受け
入れている同僚に対しても忸怩たる思いをお持ちのようです。

業務と責任が違う以上、もしかしたら対等の関係構築は難しいかもしれませんが、
同じ組織の一員として対等にやるべきことはあるはずです。

ここで、「業務」と「職務」の違いについて触れたいと思います。
「業務」とは取り組むべき義務を伴う仕事のこと、「職務」とは組織を構成する一人ひ
とりが働きやすい職場作りのために等しく担う仕事のことだという考え方があります。
たとえば、あいさつをする、周囲に心配りをするなど職場環境をよくするための各自の
心がけを「職務」といえば、わかりやすいでしょう。

この「職務」という視点で、職場を再点検してみてはいかがでしょう。
より快適な職場環境を創り出すために、あなたができることがあるのではないでしょう
か。

今まで培っていらした知恵とスキルを存分に生かせる職業人生にしてください。

回答者プロフィール

重原惇子

2級キャリア・コンサルティング技能士。キャリア・カウンセラー。女性、若年者を主な対象者として、現在は“若者サポートステーション”で、働きたくてもなかなか動きだせない若者たちの悩み、苦しみに向き合っています。年間のべ1000回のカウンセリングを通して感じたのは、個人の努力の限界と日本の雇用体制の矛盾。でも、まずは、目前の相談者が来た時より元気になって帰っていけるようなカウンセリングを心がける毎日です。