こころ
相談17「子ども以外に共有するものなし、セックスレス・・一緒にいる意味が見いだせない。夫婦ってこんなもの?」
2011.12.11 Sun
私は、今年結婚10年目、小学校1年の子供が一人おり、夫と3人で暮らしています。大学を卒業してから体調を崩したり何度か転職をしながら現在の会社には正社員として9年勤めています。
家事育児との両立で日々忙しくしていますが、仕事はやりがいがあり、現在は業績の悪化する会社にいる主人よりも多い給与をもらっています。住宅ローンも二人で借り、夫もある程度は家事を分担し、対等な関係を築いてきました。そんな私ですが、夫婦関係についてご相談したいと思います。
きっかけは、3月の東北関東大震災で、我が家は計画停電の地域で、私は毎日仕事の段取りと家事の段取り、放射能対策で大わらわだったのですが、主人は全く無関心。台所の吊り棚の扉が開かないように耐震グッズの取り付けをお願いしても無反応。この人にとって私と子供ってなんなんだろう?と思い始めました。
そう思い始めると、家事の分担もやらないと私に怒られるからやっていたんだとわかったり、今は共通の話題も子供以外特にありません。主人はランニングが趣味で一人で行くので、週末も家族で出かけるようなことはありません。夏休みなどで旅行に行った際には必ず喧嘩になります。もちろん私の体調が悪いときもお構いなしです。
今、この人と子供以外で共有することって何もないなーと思います。私は子供と二人でも経済的には生活できてしまうので、一緒に居る意味がないなら離婚したいと思うようになりました。
子供のために形だけ家族でいることが、偽善のような、惰性のような、気もしています。世の中の夫婦ってこんなものなのでしょうか?
一方で暴力をふるうわけでもなく、賭け事もせず、子供のサッカーにつきあったりして、そんな旦那に不満をもつこと自体、私はわがままなのだろうか、とも思います。
ちなみにこの7年間はセックスレスです。子供が小学校に入るまでは一緒に寝ていたので、そんな気も起らなったのですが、子供が一人で寝るようになり、夫と一緒のベットで寝るようになっても、自分の気持ちとして全く前向きになれません。家庭人としても仕事人としても夫を尊敬できなくなってしまった自分が変わらない限り、セックスレスも変わらないんだろうなと思います。もちろん夫がどう思っているのかわかりませんが。夫からの誘いを断ったことはないので、なんとなしにセックスレスになった感じです。
こんな夫婦はよくいるのでしょうか?どう自分の気持ちを立て直せば前向きな関係になれるのでしょうか?よろしくお願いいたします。(神奈川県、38歳女性、会社員)
回答
相談17 回答
ご相談を読んだとき、文面から生活のリアルさや感情面についてそれらをさらっとなでたような感じを受け取りました。もちろん深刻な話を深刻に書いてほしい、と言ってるのではありません。
で、何度か読み返し、主訴は夫が自分をかまってくれない(セックスレスも含めて)ことにつきるのかな、と思われました。そうでしょうか。自分がわがままなのだろうか、とか、夫婦とはこんなものだろうか、とかの問いの裏側に、「いや、わがままではないはず」「夫婦とはもっと親密で興味も趣味も共有すべき」という不満が感じられますから、それらに直接応えることはやめますし、実は私にはできません。社会学者ならたとえば○○年代のセックスレスは○○%とかおっしゃるかもしれませんがそのようなデータを調べてご自分があてはまるなら、納得なさいますか?
ところで、コップに50%の水があり、それを半分しかない、と不満に思うのか、半分もあればそれで充分と考えるかどうかという話、ご存知ですよね。要するに「幸福感」は実に主観的だという比喩です。これが、あなたの幸・不幸感覚について私が判断がましいことの言えない理由です。
ところで彼と話し合ってみたことについては言及がありませんがどうですか。喧嘩にしかならない?よく言われることなのですが、「あなたメッセージ」でコミュニケーションしないで「私メッセージ」で話すという助言きいたことある? 「あなたはいつも私をほったらかし」ではなく「私はもっとかまわれたい」という話し方。つまりまず相手を責めるのではなく、自分の欲求を素直に述べるということです。いきなり非難されると相手も防衛的になって、わかっていても素直にそれを認めなくなります。これは意外と困難な話し方なのですが。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。