こころ
相談26「ペットを失ったショックが消えません」
2012.12.04 Tue
家族のように大切に思っていた犬が亡くなって、ショックが消えません。
最初は、周りの家族も共に悲しみ、なぐさめてもくれたのですが、
2か月、3カ月と過ぎるうちに「いつまで悲しんでるんだ」と言われるようになりました。
特に夫が、「子どももいるのに、どっちが大事なんだ」と、
わたしの態度をなじるようになり、
わたしも、それは頭では十分に分かっているので、 言い返せないのです。
なのに、体が言うことを聞きません。
全然、家のことにやる気が起こらなかったり、
よその犬を連れている人を見ると、無性に悲 しくなったりイライラしたり。
どう、ふるまっていいのかも分からなくって、
どんどん、夫や家族から気持ちが離れていく気がします。それが怖く て。
悲しみとか、家族への怒りとかといった自分の気持ちを
どうしたらいいのかも分からないのですが、
家族との関係性がこのままだと壊れてしまいそ うで、悩んでいます。
(鹿児島県、40代、女性、パートタイマー)
回答
相談26回答
私にも、ペットに大きな愛情をもって、
その喪失をとても悲しんでいる(た)という友人をもっていますが、
彼女たちは時間とともに受け入れていったようです。
日にち薬といいますが、人を最大にいやしてくれるのはやはり時間ですね。
そんなことはわかっている、ですよね。
それまでの時間をどうやりすごすかが問題。
悲しみは、励まされても怒られても、そのせいで消えたりはしません。
だから家族、とくに夫の怒りにもまして、
あなた自身がご自分を責めてはさらに回復が遅れるかもしれませんから、
悲しみはそれとして受け入れてください。
いくらあなたが家族から気持ちが離れても、
それで家族の愛や結束が崩れるとは思えないのですが。
もし「うつ状態」になっておられるなら、
それだけの喪失や悲嘆は、純粋に犬のことなのでしょうか。
あるいは「かつての誰か」の喪失を、
犬に代理して悲しんでいるということはありませんか?
これはちょっと考えていただく必要がありますが。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。