お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談33「家事をやらないと彼に嫌われてしまう気がして、必死でやってしまいます」

2013.05.01 Wed

同棲している男性(会社員、30代)のことでご相談いたします。
私は研究職を目指しており、彼もそのことを理解している、と言ってくれます。
私ができないときは自分が家事をするから、とも。
しかし勉強だけでも正味大変なのですが、家事をやっておかないと何か
「嫌われる」ような印象があって、必死で家事をやってしまう自分がいます。
また、彼に対して家事を安心してお願いすることができません。
実際には私が家事をお願いすることもあるし、彼自身がやりたい家事
(私は特に必要だと思っていない家事)をやってくれてはいますが、
大変なときに自分がしてほしい家事を安心してお願いできる、という感覚が皆無です。
(うまく言えずにすみません)
結果、仕事と研究と家事とをぎりぎりの状態で回しており、疲労とストレスでぱんぱんになっています。
家事に限らずですが、「やらなければ嫌われる」という恐れを私が抱くように彼が仕向けているのか、
あるいはそう考えてしまうのは私自身の問題なのか。
自分と彼との関係を妙に非対称的に感じるのは、私の「惚れた者負け」だと言われたこともありますが、
果たしてそういうことなのか。睡眠時間を満足に取れない中、そのことが最近ずっと苦になっています。
長文になってしまった割に関係の断面しかご説明できず恐縮ですが、
何かご助言を頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
(katsuragi 埼玉県 30代 女性 大学院生)

回答

回答33

おっしゃるように、すみませんがよくわかりません。
特に、家事のあれこれをしてもらう、自分がする、の具体的場面が見えてこないのです。
これもたぶんお二人の関係性の大事な一断面なのでしょうが、ちょっと横に置きますね。
お書きくださったなかで、一番気になったのは、「やらなければ嫌われるという恐れ」です。
彼がそう感じるように仕向けているのかも、というのはひょっとして非常に鋭い指摘かもしれないのですが、
あなたがお書きくださった内容、あるいは上の家事ウンヌンからはヒントが引き出せません。
そこで、女性に多い「感情体験」について書きますね。
それは「被(~られる)=受身」の感情で、私はこれを「~られる」体験と名ずけています。
たとえば「嫌われる」「女らしくないと思われる」「バカと思われる」「生意気だと思われる」等々
否定的に評価されることを、事実がどうであれ、受身の形で取り込んでしまうことを指します。
一方で、肯定的評価、「すばらしいと思われる」などの被体験はまずない。
特に女性に多いとあえて書いたのは、ジェンダーの社会化からくるものだからです。
ジェンダーの社会化をくわしく説明する余裕がありませんが、
あなたならたぶんおわかりいただけるでしょう。女性ジェンダーの軌範を含みます。
家事のみならず、多くの局面であなたは、この隘路に入っていませんか。
ここに入ってしまえば、そうならないように、幻の軌範と戦いますので、疲弊するのは当然です。
私の言い方が、そう的外れでないとして、ではどうすれば抜け出せるか、
この場でそれまで書くには字数がたりませんが、とりあえずは、まずこの認識から始めてくみてださい。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。

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