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こころ

相談35「夫との関係について」

2013.05.30 Thu

夫との関係がうまくいかない理由に、私と実の父親とのトラウマが、関係していると思っています。
父は今で言えばいわゆるDVだったと思います。
母を侮辱し、酒によって暴言を吐き、物を壊し、包丁を振りかざして脅す。
幼かった私は、その屈辱的な風景を目の当たりにして日々を過ごしたせいか
不平等、侮辱、威圧、男尊女卑・・・といったことにとても敏感に反応し、怒りを覚えます。
そんなこととは無縁な夫と結婚して8年、子供はいません。
非常に言動が穏やかで、地位や権威で人を判断しない人だと思っています。
ところが、ここ3年ほど、夫とぶつかることが多くなりました。
3年ほど前に、実母が認知症になり、その介護や母のしていた仕事の代わりをするため
私は、週に3回は父と顔を合わせることになり、
相変わらずの言動や態度に、怒りや無力感を覚えることが増えてしまいました。
(介護保険制度は利用しています)
そして、夫との生活の中で、ちょっとした家事の分担などで、不平等だと感じることがあると、
それを思わず口にしてしまうことが増え、あるとき夫が切れてしまったのです。
「自分は精一杯やっているし、これ以上やれと言われてもできない!」
「もう、食事も洗濯もしなくていい!自分のことは自分でやる!」
と言ったきり、話し合いの場をもちたいと言っても聞き入れず、家庭内別居の状態です。
夫の言動や態度から推測するに、私は(その時に始まったことではなく)
日々から何か物事をやる度に、「こちらはこれだけやっているんだから・・・」という、
押し付けがましい態度がある、と感じていたようです。
夫婦間なのだから、何かしてあげたことに対して見返りを期待するのはおかしい、
自分だったら決してそういうことはしない、とも言いました。
私にも色々と反論したいことはあったのですが、
怒って、泣いている夫を目の前にし、言い返すことができませんでした。
家事分担についてうまく折り合いをつけていなかったことが喧嘩の直接的な原因ではあるのですが、
夫のいうように、私に押し付けがましい態度や潜在的な気持ちがあるのだとしたら、
父とのトラウマを解消しなくては同じことを繰り返してしまうのでしょうか。
どうぞ、よろしくお願い致します。
(千代 浜松市 44歳 女性 自営業)

回答

回答35

拝読して、こころが痛みました。さぞかし大変だろうと思って。
お母さんは、もっと手前で逃げ出せばよかったのに、
DVなどという言葉をご存じなくて(?)、今になって、認知症に「逃げた」のでしょうか。
お父さんは、妻の認知症を理解しているのですか?
相変わらず妻への言動は同じ?あるいはあなたへのみ?
トラウマになっておられるというのは、そのとおりでしょう。
トラウマからの回復はいろいろあるでしょうが、
このたびはお父さんと対決してみるのはいかがでしょうか。
あなたも小さな子どもではないし。
ひょっとしてあなたが強くでることによって彼が柔らかくなる可能性は否定できません。
彼はあなたがいないと困るのですから。
文言をよく練って、ガッーと返ることを想定内にいれて、それでもめげず、
落ち着いて言い切ってみてください。
何度も練習して、自分の権利としてこころを強くもってください。
ただし、事態をご存知なのはあなたですから、さらにあなたに不利になるようなら、おやめくださいね。
お連れ合いとの関係は、あなたのトラウマをお話になって修正ができませんか。
文面から、正直に率直に話し合えば、多少は改善されるような気もします。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。