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お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談37「母と義理の妹に対して、怒りを感じてしまいます」

2013.07.27 Sat

河野さんにご相談したいのは、
わたしが母と義理の妹に対して持ってしまう感情のことです。
わたしは学生時代から、親元から離れて暮らし始め、
今は結婚・2児の出産を経て、核家族で子育てをしています。
夫は仕事が忙しすぎてあまり子育てには関われず、
専業主婦でわたしが24時間、子どもを見ています。
子どもはかわいいし大切に思いますが、
子育てを一人で抱えることは、ときどきしんどいなぁと思います。
そんな折、3年前に弟が結婚し、弟夫婦にも翌年、子どもが生まれました。
弟と義理の妹は、わたしの母に子育てをとても上手に頼り、
しょっちゅう預けては、自分たちの時間を楽しんでいます。
わたしは、そのことを決して悪いとは思いません。
だけど、弟夫婦の子どもを母が預かったという話とか、
義理の妹が母に感謝している言葉を耳にしたりするたびに、
怒りの感情がいちいち、煮え立ってしまうのです。
子ども時代、母に全く甘えずに育ってきたし、今は遠方にいるからと、
母に子育てを助けてもらったことは一度もありません。
今更、助けてとか何かしてとか、自分から言えないのは百も承知です。
だから、義理の妹が母に頼っていることに嫉妬する気持ちもあるのかもしれませんが、
そんな自分も嫌だなぁとつくづく思います。
どこに怒りや悲しさを持っていったらよいのか、良く分からないまま、
いつもしばらく、心が嵐みたいに荒れているのがわかります。
自分はいまさら母に頼れない。だけどそれが簡単にできている義理の妹や
気安く受け入れている母に無性に腹が立つ…。
どうしてこんなに腹立たしいのかと考えても良く、分かりません。
この怒りを持つこと自体が苦しいから、手放したいのに。
わたしは自分がどうしていいのか、
まず、何から整理してみたらいいのか、途方に暮れています。
何か良いアドバイスがあれば、いただきたいです。
(30代、愛知県、ハナミズキ)

回答

回答37

ハナミズキさん
私の正直な感想であり、またご自分で十分おわかりのように、結論的に言えば母親に対する怒りの、
手にあまる感情をどうすればよいか、ということのようですね。
夫が育児を手伝わないこと、したがって一人での育児が大変なことも
子供を母に預けられないことも、弟夫婦が自由に預けて二人で生活を楽しんでいることも
すべては、子供時代に母に甘えられず、またそれに気がついてもくれなかった
母に対する怒りを挑発する契機になっているというように感じました。
もし整理をとおっしゃっるなら、ここがスタート時点じゃないでしょうか。
義妹のように、甘えればいいじゃない、などとは決して申しません。
一般的に人は、学習していない行動パターンをいきなりはとりにくいからです。
甘えるなどという行動を、成人してからは特に。
私はね、ハナミズキさん、怒っていなさい、と申します。
怒りの感情は取り扱いにくいしコントロールをするのも大変。
実は逃げではなく、誰も当事者がどうすればいいかなどは、示唆できないものなのですね。
怒りは、このコラムでもたびたび申し上げていますが、とても大事な感情です。
で、怒りがたまると、夫に対してでしょうか、母に対してでょうか、
あなたの怒りをぶつけることになるかもしれません。
でもそれが結果的に相手を変えたり(驚いて!)、
あなたご自身を切り開くチャンスになるかもしれませんよ。
変化にはある種のラディカルさが必要です。
たまにはいい子をやめて驚かしておやりなさい。
あるいは私の場合のように、「こんちきしょう(perdon my language)」と心の中で呪いまくっていると、
だんだん、どうでもよくなってきたりします。怒りは私にキチンと場が与えられるからですね
中途半端におさめようとすることは、あまり役にたたないように思います。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。