お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談40「介護されている姉のことでご相談したいと思います」

2013.10.12 Sat

姉のことでご相談したいと思います。
60歳の姉が脳こうそくで倒れて1年になります。両親はすでにおりません。
姉の夫が、とても親身に介護をしてくださっており、わたしが何かしたいと思っても
「退職してすることの無い僕が見るからいいですよ」という返事なので、
普段は、他の人はほとんど手を貸すことはございません。
わたしもまだ仕事をしているため、時おり見舞いに行く程度ですが、
車で行けばすぐのところに住んでおり、二人姉妹で、
病気になる前はとても仲良く、たまの旅行など二人ででかけておりました。
ただ、姉の夫は、傍で見て文句のつけようのない介護をしているのですが、
姉の日常生活の管理が、とても厳しい様子です。
わたしも一緒の食事や外出などの際にも、厳しい口調で姉を諌めますし、
動きづらいのに、粗相をすると手をたたいたりも。
姉も面倒を見てもらっている以上、言いたいことが言えないように見受けられ、
いつもいろいろ我慢しているように思います。
病気の後で障がいが残ってしまってから、内に閉じこもるようになり、
言葉もうまく話せない姉を見ていると、彼女が我慢していることがとても辛くなります。
妹なので、小さいころから姉頼みで育ってきました。
親も生前、わたしではなくいつも姉を頼り、
そのあとも家のいろいろなことを決めるのは、すべて姉が決断して参りました。
ですから姉には、わたしに頼るなんて思いもつかないのではないかと思いますが、
わたしは少しでも姉に、わたしに頼ってきてほしいのです。
姉の夫の介護の厳しさも、なんとかできないものか、と思っています。
今、姉の夫の心証を害することのないようにしながら、
何とか少しでも、わたしが間に入るにはどうしたらいいでしょうか。
(50代 愛知県 女性 パートタイマー)

回答

回答40

私の友人の話をします。
彼女のお母さんが末期ガンになり、もう高齢で開業していた医院を閉じた医師である夫(父)を主治医としました。
友人やご兄弟は、高齢の父の判断の誤りや治療助言ミスを恐れ、別の主治医に付くよう助言しました。
が、母上はかたくなに夫を望みました。ご兄弟は、そこで 母の意思を尊重し、
もし不幸にも死期が早まるようなことがあってもしかたがない、と、ハラをくくったと言います。
もうご夫婦とも逝去されており、何が起きた(起きなかった)かの事実はわかりません。
何が言いたいかと言えば、あなたの場合、
当事者(お姉さん)の意思の尊重をお考えになったことがあるか、ということです。
私たちは往々にして、自分の感じる(見える)幸・不幸感で、つまり主観で相手の立場を判断しがちです。
非当事者(あなた)にとって相手が不幸に見えても、それはあなたの感じかたですね。
このような相談事に多いのが、この問題だし、日々起こる人間関係のちょっとした係争は、多くこの点、
自分の主観が正しいと思って動くことからくるのではないかと私は思っています。
お姉さんに直接言うのも、彼女の夫に言うのもいいでしょう。
ただあなたがどう思うかは置いて、お姉さんに、どうしてほしいかを聞いてあげてください。
自分もたまには一緒に時間を過ごしたいというような希望を添えて。
それでもこのままでいい、とお姉さんがおっしゃるなら、彼女の意思を尊重してあげてはいかがでしょう。
どんなに身近な人でも、その人の人生(暮らし)に
非当事者が良き影響を与えられることは多くないと言えば、悲観的にきこえるでしょうか。
もしお姉さんがなにかして欲しいとおっしゃる場合のことを考えなくはありませんでした。
ただ何を望まれるかが不明だし、このような紙幅では不十分なので、省略しました。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。