こころ
相談44「20代後半の次男のことで相談します」
2014.02.14 Fri
20代後半の次男のことで相談します。
小さいころから特に問題なく育ち、大学へ入学した後、順調に就職し、
希望していた部署へ配属され、最初は元気に仕事をしている様子でした。
わたしとは、大学からずっと離れて暮らしています。
ところが、2年ほど経ったときに精神的に体調を崩してしまい、
しばらく休暇を取っていましたが、最終的には、
「退職して、資格を取りたい。会社にいる間に貯金をしたので、
その資金があるから心配はいらない」と退職しました。
現在は、退職して2年目。
資格試験(難関な試験です)に向けて、一人暮らしをして勉強している様子です。
次男を信じてはいるのですが…今の世の中、「一度、正社員のコースから外れてしまうと大変!」
と聞くたびに、ざわざわした気持ちになります。
この気持ちに向き合うには、どうしたらよいでしょうか。
(50代、女性)
回答
回答44
いきなりの具体例から入りますね。
たとえば3日ほど食べていないのに今日も食料がなく、明日も入手できる予定が立たない、と言われれば、
それは、困りましたね、さぞ不安でしょう、と誰だってレスをするでしょう。
私が何かお届けしますということが十分にありえることはちょっと横に置きますね。
ずいぶん前、このコーナーで「相談1」が、
今現に何も起きていないのに、「いま」の後のよくない結果を想像して、不安になるという問い合わせでした。
つまり既述のような具体的な目前の不安ではない。
その回答に書いた記憶があるのですが、このような不安を予期不安と言います。
そしてあまり役に立たないこの感情
(その肯定的側面に触れ1冊の本をかいた方がいますが、それも横におきましょう)を、
誰に言われたわけでもないのに、わざわざ引き寄せて、そしてなぜ人はそれに振り回されるかとも書きました。
普通に言えば「心配性」でしょうか。
私の亡母が、そいう人で、いつも何かを気にかけ心配していました。
その時点で元気な私の健康を心配しているのです。
愛情からだと言えばそのとおりですが、
亡母には、元気であるという私の「現実」を受け入れるつもりがないのだ、と思ってきました。
やがて私は心配しないで、と彼女に言わなくなりました。
換言すれば、私の現実よりも彼女自身の不安のほうが大事なのですね。
あなたが、こういう人なのかどうかよくわかりませんが、
できれば、もっと楽しい別の感情を思い起こしていただけたらと希望します。
それはたとえば信頼とか、人生思うようにはいかないといった開き直りとか、
きっとうまくいくだろうといった楽観性とかです。
それとご自分を楽しむすべも思い起こしてみてください。あるはずですよね。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。