こころ
相談47「友人が就職先の社長からセクハラを受けているようです」
2014.07.28 Mon
先日、大学の労働法の講義でセクハラについて勉強しました。
そのとき、はっと気づいたのですが、友人が就職先の社長からセクハラにあっているようなのです。
友人は短大を出て、この4月に就職したばかりです。
社長から強引に食事に誘われたり、マッサージに一緒に連れていかれたり、
会社から帰るときに、車で無理やり送ってもらうこともあったそうです。
友人は、まだ、セクハラとは自覚していないようなのですが、困惑した感じで話すし、
わたしは授業を聴いて、ぜったいセクハラだと思っています。
友人が大変なことにならないよう、なんとかしたい気持ちでいっぱいです。
ただ、友人の会社は社員が5名と、とても少人数で、
社長の言うことを断ったりしたら、仕事が続けられなくなりそうな雰囲気もあります。
今のところ、それとなく「それってセクハラじゃない?」と言ってみても否定されるし、
なんとなくセクハラではないと思いたがっているようにも、わたしには感じられます。
相手に否定されないよう、どういったらうまく伝わるのでしょうか。
(愛知県、ミカ、21歳)
回答
回答47
ミカさん、あなたがご友人を心配されている気持ちがよく伝わりましたよ。
確かに、DVにしろセクハラにしろ
当事者がそのような問題だと認識したがらない実態はよくあることなのですね。
認識すればほっておくわけにはいかず、やはり解決をしなければいけなくなります。
ところが解決そのものは決して簡単ではありません。
で、なんとなく曖昧なまま状況がすすんでしまいます。
たとえばあなたもご心配のように友人がそう認識して
社長の誘いを拒否するとか、訴え出るとかすれば、離職の可能性がある。
これも簡単に想像できますよね。まずここを押さえてください。
じゃあ、このまでいいのか?基本的にいいとは思えませんが、
いますぐあなたが友人を助けるために動ける可能性は高くないと思います。
彼女の迷惑がどの程度のものかをよく聞き分け、
あなたを信頼して打ち明けられるという関係性を維持してください。
誰にも何も言えないというのが一番悲惨な状況ですから。
まずはあなたのご心痛より友人の立場にたってあげることを優先していただけたらと思います。
そしてあなたの情報をシェアしつつ、彼女がとても困っているとなれば、すぐに社長に言うより、
お住いの地域の労働関係の相談機関に話を持って行ってください。
相談機関はどこにでもあるはずです。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。