こころ
相談No.1 「30代後半の派遣社員。将来が不安です。」
2010.08.27 Fri
年金生活の両親と同居で、安月給でもいまはそれなりに暮らしていけますが、この先、派遣の仕事はいつまであるかわからず、段々仕事を見つけるのが難しくなります。両親が死んだらひとりぼっちでとても生活は成り立ちません。結婚相手どころか、交際相手もいないし、、、、先のことを考えると不安でいっぱいです。(花子/福岡市)
回答
回答1:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)
あなたのおっしゃる「将来を考えると不安」という気持ちよくわかります。不安というこのママならない感情の取り扱いは本当に大変。それなのに私たちは、何にでもわざわざ不安という感情をつけます。不安のない人なんて、本当に人かしらと思えるくらい人間の資格要件みたいですね。「明日は就職面接日、うまくいくか不安だわ」というふうに。逆説的かもしれないけれど、不安と思っていたほうが、落着くのかもしれません。つまり、面接に落ちたときの失望を先取りしてとりあえず不安になっておく、と。ただし、これだと、失望と不安の負の感情を二つも抱えてしまう結果になり、劣等感が強くなりかねません。あなたの場合、具体的には何もしないが、先のことを考えているという保障に不安を置いているみたいと言うと酷ですか。ただね、先のことを考えたら不安がないという人はいないと思いますよ。何でも持つ人は、それらを失うのではないか、あるいは失わなくても、認知症になるのでは?孤独死するのでは?と。何も持たない人は何もないことに不安。だとすれば考えなければいいということになりますね。察するに考えない(でいられる)人は、人生ママならない、考えても仕方ない、と。たしかに時間的経緯は良かれ悪しかれ、結構人を思わぬところに運び込みます。で、ハラをくくって何もしないで、人生の動き方を待ち、多分具体的な動きが要請される時、一番納得しやすくやりやすい方法で動く。こんなこと不安だ!とおっしゃるなら、今やれそうな変化(正規雇用の就職活動?)を試してみますか?
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。
タグ:貧困・福祉