法律
相談 6:国際結婚のときの法律問題(その1)
2012.01.23 Mon
次男(26歳)が中国の女性と結婚することになりました。
もちろん、結婚については賛成しています。
一つ、心配なことがあり相談します。
今後、国籍が異なることで何か法律的な問題が起きる可能性はあるでしょうか。
まず、①戸籍や住民票の問題、②子どもが生まれた場合について、相談します。
回答
相談 6:回答 養父知美さん(弁護士)
①国際結婚で、戸籍や住民票はどうなるか
日本の役所に、中国の方式で婚姻したことを証する「結婚証書」の謄本が提出されるか、日本の方式で婚姻届が提出され、婚姻の事実が確認されると、次男さんの新しい戸籍が作成され、そこに、婚姻の事実(婚姻日・配偶者氏名・配偶者の国籍・配偶者の生年月日・婚姻の方式・証書提出日)が記載されます。
新たに国籍取得のための手続きを取らない限り、婚姻や居住の事実だけで、国籍が変わることはありません。
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称するとされています(民法第750条)。
いわゆる夫婦同姓制度ですが、外国人との婚姻の場合は、別姓のままです。外国人の氏を名のりたい場合には,婚姻の日から6か月以内であれば,戸籍届出窓口に氏の変更の届出をするだけで,外国人配偶者の氏に変更することができます。戸籍は、日本国籍を有する者だけを登録する制度なので、中国人である配偶者は戸籍には記載されません。
住民基本台帳に登録されるのも、現在は、同じく日本人だけで、外国人には、外国人登録が義務付けられています。しかし、2012年7月には、外国人登録制度が廃止され、中長期に滞在する外国人にも住民票が作成されるようになります。
②子どもの国籍について
国籍の取得を定めるのは、その国の国籍法です。日本の国籍法は、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」は、子は日本国民とするとしていますので(国籍法第2条)、2人の間に生まれた子どもは日本国籍を取得します。
しかし、「出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたもの」は、出生届けと同時に「日本国籍留保届」を出しておかなければ、出生時に遡って日本国籍を失ってしまいますので(同第12条)、その子が中国で生まれたような場合は、注意を要します。
また、出生により外国籍を取得した場合は、二重国籍が認められていますが、22歳に達するまでにいずれかの国籍を選択しなければならないとされています(同第15条)。
一方で、中華人民共和国国籍法は、父母の双方又は一方が中国の公民で、本人が中国で生まれた場合は、中国の国籍を有するとしています(同法第4条)。
しかし、父母の双方又は一方が中国の公民で、本人が外国で生まれた場合も、中国の国籍を有するとしているものの、父母の双方又は一方が中国の公民であるとともに外国に定住し、本人が出生と同時に外国の国籍を取得している場合には、中国の国籍を有しないとしており(同法第5条)、二重国籍をもつことも認めていません(同第3条)。従って、次男ご夫婦が日本で生活されており、子どもさんも日本で生まれたような場合は、中国国籍を取得できません。
子どもさんの将来にもかかわってきますので、ご夫婦でよく相談されるとよいでしょう。
回答者プロフィール
養父知美
とも法律事務所は、知をもって(法律の専門家としての知識をもって)、友として(あなた自身や家族になりかわることはできないけれど、あなたの力になりたいと願う友人として)、共に(ひとりで頑張らないで、ひとまかせにしないで、一緒に)、問題解決をめざす法律事務所です。
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画












