お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談No.2 「拒食症の娘さんを持つ友人をほっておけない。でも余計なお世話?」

2010.09.10 Fri

友人の娘さんが中学2年生で身長が160センチぐらいで体重が31キロにまで激やせしています。入院させたほうがいい のではないかと思いますが、摂食障害についてはカウンセラーにもかかっていて、そのカウンセラーから「入院を強要しない方がいい」と言われたそうで、友人である母親は、そのアドバイスを信頼しており、娘さんも学校を休みたくないので入院したくないそうなのです。でも、放っておける体重ではないと思 いますし、実際に低栄養のために記憶障害も出ていることがカウンセラーからも指摘されていると言いす。
私は、友人として、この母娘(母子家庭です)をこのままにはしておけない気持ちなのですが、それでも本人たちの意志を 尊重すべきなのでしょうか?私はどういう支援ができるでしょうか? アドバイスをお願いいたします。(三重県津市/八重子)

回答

No.2回答

まず、かかっているカウンセラーが、なぜ入院を強要しないほうがいい、と判断しているのかがよくわかりません。特別な理由をお持ちなのかもしれませんので、あくまで私の考えです。
ご当人が入院をイヤがっているのは推察できるとしても(私の経験から、どなたもイヤがります)、31kgとは体重が少なすぎるような気がします。苦しんでいる(た)期間の長短や個別差はありますが、生存範囲のぎりぎりが30kgと言われています。米国の歌手、カレン・カーペンターが拒食症の結果心臓疾患で死亡したのは周知のことですね。私なら、なんとかご本人を説得して入院してもらい、身体的状況の改善をまず考えます。摂食障害に陥ると、摂食障害という事態からしか物事を考えられなく(それ以外の感覚や概念で世界とかかわれない)、ちょっとした心理的内省にすら踏み込めないからです。今ここで、社会的に女性に対する美の基準やそのプレッシャー(それも大きいが)については置きましょう。一般論になりますが、家族関係を捉えなおすことも必要です。特に性別役割分担に捉われていないか、ということは重要です。これが完璧であればあるほど、家族関係は息が詰まりそうで余裕がなくなります。それぞれが役割にそった「~すべき、すべきでない」にこだわりお互いにハメをはずせなくなる。逆にたとえば母と父はそこそこに平等で、兄弟姉妹はけっこう喧嘩しあっているが、時に笑いあったりしているか、とか。どういう家族がいいのか聞かれたら、私はよく笑い合ってる家族関係と答えるでしょう。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。