法律
相談 20:離婚した夫のところへ子どもが行ってしまうのでは…と不安です。
2014.04.09 Wed
姑との折り合いが悪く、3年前に離婚しました。子ども(6歳)がおり、私が親権をもっています。
現在、元夫と子どもは、月に2回、一緒に過ごしていて、元夫との関係も悪くはないのですが、子どもが大きくなったときに、元夫のところに子どもがいってしまうのではないか…と不安になってきました。元夫のところのほうが、経済状態もよいです。
いま、何か考えておくこと、しておくことはありますか?
回答
回答 20:打越さく良さん(弁護士)
きっと、姑の方との折り合いが悪く離婚に至った経緯で、元夫の方とも衝突したことでしょう。強い葛藤を経て離婚してからも、元夫との関係は悪くないなんて、とても素敵ですね。そして、月2回の元夫とお子さんとの面会交流を継続なさっている。あなたの愛に育まれつつ、毎日一緒にはいられないお父さんの愛情も実感できる機会をコンスタントに持っているなんて、お子さんにとって何よりです。
離婚後としては良好な関係にあるのに、なぜお子さんがいずれ元夫のところにいってしまうことが気になってしまうのでしょう。経済状態が元の夫のほうが良好といっても、経済状態ひとつで親権者が決まってしまうわけではありません。
親権者「指定」の判断要素として、裁判例等で考慮されるのは、①監護の実績(これまでの子どもの養育状況、別居前の主たる監護者、父母それぞれの監護能力、子どもとの親和性等)、②今後の養育方針・養育環境等(収入等の生活能力、家庭環境、親族の援助の有無や内容、面会交流の許容性など)、③不適格とされるところがないかどうか(暴力、虐待、健康状態)、④子どもの事情として、兄弟との関係、健康状態、環境への適応状況と適応能力、⑤子どもの意思、などがあげられています。親権者「変更」の基準は、親権者「指定」の基準と異なるものではないという立場もありますが、父母双方の事情の比較衡量に加えて変更すべき特段の事情が必要であるとする立場もあります。結局のところ、現に監護してきた実績が大きな判断要素になります。
あなたがお子さんを大切に育てていくだけでよく、他に今から何か考えたりしておくべきことはありません。面会交流の機会を尊重しているのも、上の要素の②中にある面会交流の許容性として、重視されるところです。まあそんな計算をしないで今まで通り面会交流の機会を尊重なさってください。そういえば、日々接していると子どもを叱らなければいけないときも増えますが、たまに面会する非監護親のほうが優しく接することができ、何か損なかんじ…と釈然としない気持ちを、監護親から聴いたことは何度もあります。お気持ちはわかります(笑)。でも、たまに会う親の愛情も、日々がみがみ言わなければならない親の愛情も、きっとお子さんは感じ取っています。大丈夫、先回りして心配し過ぎないようにしてくださいね。
弁護士 打越 さく良
回答者プロフィール
打越さく良
事務所は女性弁護士が5人。事務員さんも全員女性で、あたたかく笑いのたえないところに身をおいているので、過酷な事件にもめげずに立ち向かっている。離婚、DV事件、子どもの面会交流などを多数担当。また日弁連家事法制委員会,両性の平等委員会委員でもあり,家族法改正ロビイングにいそしむ。 著書に『改訂版Q&ADV事件の実務 法律相談から保護命令・離婚事件まで』(日本加除出版)