法律
相談 26:離婚後…元夫からのいやがらせ、新しいパートナーとの関係で悩んでいます。
2014.11.03 Mon
50代の女性です。昨年、離婚して、離婚前からつきあっていた新しいパートナーと一緒に暮らしています。離婚に際し元夫は私に多額の慰謝料を求めてきましたが、早く離婚したかったのでそれに応じ私の給料から毎月ローンで払っています。
パートナーには妻と2人の子どもがいますが、私がつきあう5年前から妻と別居しています。2人の子どもは既に成人しており、2人とも私たちの関係を認めてくれているので私も親しくしています。子どもの1人はまだ学生なので学費と下宿代、妻の住居費は彼が払っています。
私たちの同居に対して彼の妻から特に申し立てはないのですが、私の元夫の方がパートナーの職場に行って彼が自分の家庭を壊したと訴えたり、パートナーの上司にあることないことを手紙に書いて彼がいかに非道であるかを訴えています。これについては事なきを得ており、パートナーも「大丈夫」と言ってくれてはいますが、私としては許せません。元夫の行動をやめさせる法的な対処があれば教えて下さい。
また、私は彼との婚姻関係を望んでいるわけではありませんが、彼の離婚は望んでいます。彼の妻は精神的にも生活上も自立した人ですが、離婚は望んでいません。長く別居していても妻が応じない以上、彼は離婚できないのでしょうか。
(神奈川県、よう子)
回答
回答 26:打越さく良さん(弁護士)
1 元夫に対して
パートナーのお子さんたちや上司に理解があって良いですね。それでも、元夫の行動にはお困りのことでしょう。パートナーが「大丈夫」と言い、上司の方も特に問題視していないなら、元夫の嫌がらせはさほど頻繁でもないのでしょうか。相手にしなければ、元夫も白けておさまってくれるかもしれません。しかし、そうもいかない場合には、パートナーから元夫にこれ以上嫌がらせ行為をする場合には、損害賠償請求をするという内容の警告の通知を出すのも一案です。若干の費用がかかりますが、弁護士を代理人としてつけて代理人から出してもらうと、本気度がより伝わるかもしれません(逆上するかもしれませんが、まあ、もともと憤っているようですから、それを恐れていてもしかたないでしょう)。
元夫からすれば、自分はあなたたちの不貞の被害者だということなのでしょうが、その点は既にあなたが多額の慰謝料を支払う義務を負ったことで一件落着しているということですよね。或いは、あなたが「多額」と思っても、相当額よりは低い金額で、不貞という共同不法行為者の元パートナーに対してはまだ請求すべき金額が残っている、と元夫は考えているかもしれません。その場合でも、元夫は、嫌がらせなどする権利があるわけではなく、パートナーに残る慰謝料相当額を請求する権利があるだけで、淡々と通知するなり、裁判を起こすなりすればいいのです。不貞をしたからといって、嫌がらせに我慢する必要は全くありません。
通知しても、一向に収まらない場合には、嫌がらせ行為を止めるよう、地方裁判所に仮処分を申し立てることが考えられます。その場合、嫌がらせ行為の証拠が必要になります。裁判所に仮処分を認めてもらえるほど緊急性があるかどうかなど、その事案によるので、法律相談に赴かれたほうがいいでしょう。仮処分を申し立て、裁判所が元夫を呼び出してくれた場合、話し合いの結果、和解が出来ることもあります。
2 パートナーと妻の関係
あなたはパートナーに離婚してほしいとのことですが、そもそもパートナーご自身はどうなのでしょう?パートナーが離婚する気がないなら、あなたはそのパートナーの気持ちを受け入れるか、受け入れがたいのならお別れしたいほどなのか。あなた自身のお気持ちの問題です。
パートナーご自身離婚したいのであれば、あなたとの交際前に5年別居していたということですし、既に婚姻関係は破たんしているとして離婚事由(民法770条1項5号)ありとして、離婚請求が認められる余地があります。しかし、5年別居していたとしても、その間も交流がある場合(たとえばご夫婦で旅行したり食事をしたりしている場合)には、破たんしているとはいえないかもしれません。それでも、お子さんたちが既に成人している上、あなたたちの関係を認めてくれているとか、今まで妻の住居費を払ってきたとか(これからも一定の金銭的給付をするのであればなおさらプラスです)、妻が経済的にも精神的にも自立していて離婚となっても苛酷ではないといった事情を総合すれば、離婚が認められる余地は大いにあります。
ただ、いきなり離婚原因の有無を立証する裁判より前に、話し合いで解決できるなら消耗しないで円満離婚できるかもしれません。手続としても、いきなり裁判はできず、まずは話し合いや調停を経ることになります(調停前置主義、家事事件手続法257条1項)。
回答者プロフィール
打越さく良
事務所は女性弁護士が5人。事務員さんも全員女性で、あたたかく笑いのたえないところに身をおいているので、過酷な事件にもめげずに立ち向かっている。離婚、DV事件、子どもの面会交流などを多数担当。また日弁連家事法制委員会,両性の平等委員会委員でもあり,家族法改正ロビイングにいそしむ。 著書に『改訂版Q&ADV事件の実務 法律相談から保護命令・離婚事件まで』(日本加除出版)
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