上野研究室

views

1071

「発表」を終えて TRUST AND REMEMORY「信頼し再び思い出そう」 川口恵子

2012.03.25 Sun

研究者としての私は、これまで文学や映画の領域で、国家とジェンダーの関係を問題化するフェミニストの作品を研究対象とし取り上げ、それらの作品が、いかに国家の物語を女性の側から語り直す力をもっているか、明らかにしようと試みてきた。研究を通して求めていたのは、「領有化された女性の身体を再領有化すること」“re-appropriation of the appropriated body”(トリン・T・ミンハ)だったといえるかもしれない。

その一方、自分の生の現場で起きた出来事はテクスト化できず、思い出そうとすると適切な言葉が見つからず、苦痛が生じる。フェミニスト的視点からの「語り直し」、そのための用語と戦略が必要だ。どのポジションから、誰に向かって語るのか? 黒人女性作家トニ・モリスンの『ビラヴド』の主人公、黒人女奴隷セスが“trust and rememory”と繰り返すように、信頼し、再び思い出すことができる場はどこに求められるのか。

私は、今回、上野ゼミにそうした「場」を求めた。その場に居合わせ、聞いてくださった方、貴重な問いかけをしてくださった方々に、感謝申し上げたい。問いかけを思い返すたび、新たな答えが生まれ、対話が続いている。Motherhood(母であること)を生き延びたフェミニストとして、今後、語ってゆくための言語を模索したい。

カテゴリー:うえのゼミ / レポート

ミニコミ図書館
寄付をする
女性ジャーナル
博士論文データベース
[広告]広告募集中
〉WANサイトについて
WANについて
会員募集中
〉会員限定プレゼント
WAN基金
当サイトの対応ブラウザについて
年会費を払う
女性のアクションを動画にして配信しよう

アフェリエイトの窓

  • 人間の声で: ジェンダー二元論を超えるケアの倫理 / 著者:キャロル・ギリガン / 2...

  • 産む自由/産まない自由 「リプロの権利」をひもとく (集英社新書) / 著者:塚原 久...

  • ジェンダー平等世界一 アイスランドの並外れた女性たち / 著者:イライザ・リード...

amazon
楽天