〈チラシ画像〉

1970年代に日本で女性解放運動(ウーマン・リブ)が盛んだったころ、「リブ合宿」と名付けられた、女性だけに開かれた合宿が長野県で行われた。北海道から九州まで、集まった女性たちの数は、約300人。子ども連れで参加した女性もいたという。その合宿に参加するための「約束ごと」が面白い。「ひとりで来ること、鈍行列車で来ること、最寄駅から合宿所までは徒歩で来ること」。女性の一人旅が、まだとても珍しかった時代のことだ。

映画『30年のシスターフッド』は、かつてのウーマン・リブに関わった12名の女性たちが、約30年の時を経て2003年に行われた「リブ温泉合宿」で再会する様子を、監督の山上千恵子さん、瀬山紀子さんが記録したものである。田中美津さん、秋山洋子さん、三木草子さん、佐伯洋子さんなどさまざまな運動に携わってきた女性たちが、それぞれのリブとの出会いを振り返りながら、わたし自身を語っていく。自分自身を社会から解放していった〈あのとき・あのころ〉を語るどの人の表情も魅力にあふれ、まなざしがまっすぐなのがいいなぁと思う。30年を過ぎても、リブを生きている彼女たちを見ていると、「リブ」が、社会的な運動の呼称であるのと同時に、わたしの生き方を示す言葉でもあることが、すとんと胸に落ちてくる。

〈映画の一場面より〉

わたしが山上さんと出会ったのは、2007年。当時、仲間と立ち上げたNPO法人参画プラネットが名古屋市男女平等参画推進センターの管理運営をしていて、そこで主催した映画上映に、彼女を講師のお一人としてお招きしたのがきっかけである(もうお一人は三木草子さん)。その時に上映したのがこの、『30年のシスターフッド』。そのころのわたしにとってリブというのは、まだ、強烈なイメージでしかない“社会現象”だった。そのイメージはお二人に会ってすぐに覆されるのだが、イベント当日のわたしは、今思い出すと笑っちゃうほど緊張していた。だからこそ、この映画も、お二人との出会いも思い出深い。

『30年のシスターフッド』は、リブを自分とは関係のない、すでに通り過ぎた社会現象の一つだと思っている人にこそ見てほしい。自分の中にあるリブに、思いがけず出会えるかもしれないのだから。(中村奈津子)


監督 山上千恵子/瀬山紀子
製作 女たちの歴史プロジェクト/57分/2004年


◆山上千恵子監督の新作 「女たちは闘いつづける!〜均等法制定前夜から明日へ」(仮題/45分)、来春完成をめざして進行中!◆

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資料日本ウーマン・リブ史 (1)

著者:溝口 明代

松香堂書店( 1992-11 )