お助け情報

お助けWANは、女性のこころと健康、仕事、法律の相談室です。このコーナーの担当者・回答者はいずれも、女性の心と健康、仕事など、暮らしに寄り添ってきた専門家です。どうぞ、安心してご相談ください。一人の悩みは、同じ悩みを抱える女性たちへとつながります。

こころ

相談 55 : 「今、仕事が続かず困っています」

2015.12.23 Wed

私は17歳で不登校になり、性被害にあい、県の保健センターに13年、その後フェミニストカウンセリングを17年受け、継続中です。両親と家族セッションを重ね、ACと言われADHDも診断される中、仕事ができるよう努力してきました。

今、仕事が続かず困っています。話すのが好きなので7月に入ったコールセンターの会社では、二ヶ月の研修期間後、専門知識が覚えきれないという理由で異動になり、新しいパソコン業務では全く会話がない中、過食が始まり、10月から休職しています。半年で10kg太りました。復職が来年決まりましたが、続くと思えません。どうしても、行きたくないと思うと起き上がれなくなってしまいます。

挫折ばかりで、頑張っても頑張ってもムダな気がしてきます。コールセンター業務に移りたいと上司に相談しましたが、「私のものの見方を変えましょう」と言われました。我儘だと思われているようです。どうしたらいいか、わからなくてやけになってしまいそうです。ご助言いただければ助かります。宜しくお願いいたします。
(桜子/47歳/さいたま市/パート(休職中))

回答

回答 55 : 河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)

桜子様

いろいろ大変なことがおありになったようなのに、仕事を手放さないようずいぶん頑張ってこられたのですね。あなたの生き方に敬意を表しておきます。ただ私は、回答を出すことを躊躇っています。躊躇う理由をまず書いておきますね。

あなたはこれまで、県保健センターやフェミニストカウンセリングをかなり長期にわたって受けられ、現在も継続中だとのこと。ご承知のように「心の問題」については、即効的・一言的な助言は、一般的にいってもありません。で、しかたなく「専門家」でも気休めのような浅薄な言葉を発しがちです(相談者からすれば、そんなことできっこないと思われるでしょうね)。あなたの受診施設が、という意味でなく。つまり、いろいろなところに行けば(で聞けば)、いろいろと「勝手なこと」が言われるわけですね。体験がおありではないでしょうか。

で、私自身はそのうちの一人になって、あなたをさらに混乱させたくないのです。これが逃げ口上に聞こえたら、甘んじて非難を受けましょう。

ただね、一つだけ言わせてください。お便りでは、結論として「もうダメ」と言ってるように聞こえますし、お気持ちはそうなのでしょう。でもこの長い期間、面接を受けつつ、仕事をされてきたのでしょう?本当に「挫折ばかり」だったのでしょうか。結構調子のよい時期もおありにならなかった?それはどういう時でどれくらい続いた?生きるということは、誰にとっても「よい」「だめ」という時間の継続ではないでしょうか。

目下休職中なら、これ幸いと低空飛行を決め込み、また多少とも気持ちの上向きを待つのはだめでしょうか。社会の価値観は元気で明るく素早くを称賛しますが、それを基準になさらないで。あなたの時間の流れを信じてみてください。

回答者プロフィール

河野貴代美

アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。