エッセイ

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財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書の流れを知っておこう【大切なモノを守るには】

2014.01.03 Fri

4 生前に関わる契約と死後に関わる手続き【大切なモノを守るにはNo.4-1(16)】

このシリーズは、事実婚・非婚・おひとりさま・セクシャルマイノリティといった方々に対し、「法律婚夫婦+子」を基本概念として作られている現状の各種法制度の中から、活用できる制度がないかを提案していくものです。


■テーマ・その4:生前に関わる契約と死後に関わる手続き

第16回 財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書の流れを知っておこう

●3つのテーマを時系列で

このコラムでは、これまでに「テーマ・その1:遺言書で大切な「者」を守る」「テーマ・その2:財産管理等委任契約書で「自分」や「パートナー」の日常生活を守る」「テーマ・その3:任意後見制度で大切な「自分」と「尊厳」を守る」と3つのテーマで「遺言書」「財産管理等委任契約」「任意後見制度」のご紹介をしてまいりました。。

今回は、バラバラにご紹介したこれら3つのテーマを時系列でひとつにまとめてみます。

財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書の一般的な流れを以下の概略図にしてみました。 左側が生前に関するもの、右側が死後に関するものの流れとなります。

財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書の一般的な流れ

●財産管理等委任契約

このコラムでは、まずは遺言書からご紹介しましたが、時系列で言うと一番最初に発生するだろうと思われるのが、体が不自由になった場合の「財産管理等委任契約」となります。

「財産管理等委任契約」は、加齢で寝たきりや体が不自由になった場合・病気や怪我などで長期入院・長期療養になった場合などに備えて、財産管理や日常的な事務処理を信頼できる特定の人(血縁者、事実婚のパートナーや内縁のパートナー、同性のパートナー、友人・知人、士業者等)に代理して行ってもらうための契約書です。

この契約は、実際に体が不自由になった際に行なうこともできますし、事前に行っておくことも可能です(※ただし、判断能力が衰える前に交わしておく必要があります)。事前に契約を交わしておいた場合は、実際に体が不自由になった際に契約がスタートしますし、死亡時まで体が不自由にならなければ、契約は発生しないまま終了することになります。

「財産管理等委任契約」の詳細は、これまでの連載をご覧ください。

■テーマ・その2:財産管理等委任契約書で「自分」や「パートナー」の日常生活を守る
第10回 体が不自由になったときの日常生活の手続きは? http://wan.or.jp/reading/?p=11566

●任意後見契約

認知症などで判断能力が衰えてしまった後の生活を支えてくれるのが「任意後見契約」です。自分が信頼できる特定の人(血縁者、事実婚のパートナーや内縁のパートナー、同性のパートナー、友人・知人、士業者等)に、判断能力が衰えてしまった後の様々な法律行為や財産管理などを代理して行ってもらうための契約書です。「任意後見契約」は、当事者同士の契約ですので、判断能力が衰える前に交わしておく必要があります。

「任意後見契約」も「財産管理等委任契約」と同様に死亡時まで判断能力が衰えなければ、契約は発生しないまま終了することになります。

また、任意後見契約をしないまま判断能力が衰えてしまった場合には、「法定後見制度」を利用することができます。こちらも、「任意後見契約」の制度と同様に家族や第三者に様々な法律行為や財産管理などを代理して行ってもらうための制度ですが、すでに本人の判断能力がない状況ですので、本人の希望に合わせた支援は難しくなることがあります(本人が望んでいない相手が後見人等になってしまう恐れがある、制度利用のための申請は親族等しか行えない等)。

「成年後見制度」についての詳細は、これまでの連載をご覧ください。

■テーマ・その3:任意後見制度で大切な「自分」と「尊厳」を守る
第13回 「成年後見制度」ってなんだろう? http://wan.or.jp/reading/?p=12351
第14回 「法定後見制度」で親の老後を考えてみよう http://wan.or.jp/reading/?p=12599
第15回 「任意後見契約」で老後の事前予約をしよう! http://wan.or.jp/reading/?p=12746

●遺言書

遺言書は、自分の死後、自分の大切なパートナーを守り、大切な遺産をどう活かしてもらうかという自分の意思を死後にも繋げていくためのものです。

特にこのコラムの対象者である事実婚(同性パートナーを含む)・非婚の方々などは、パートナーが法定相続人ではないため、パートナーに遺産を遺すためには、遺言書が欠かせないものとなります。また、おひとりさまも、自分の遺産を誰に遺すか、どの法人等に遺贈するか等の自分の意思は遺言書に書いておくしかありません。このため、マイノリティにとって遺言書はとても重要なものです。

遺言書がない場合は、法定相続人が全員で遺産をどう分けるかについての協議を行い、遺産分割協議書を作成することになります。

「遺言書」についての詳細は、これまでの連載をご覧ください。

■テーマ・その1:遺言書で大切な「者」を守る
第1回 相続だけはどうにもならない! http://wan.or.jp/reading/?p=8111
第2回 勝手に開けちゃダメ? 遺言書には種類がある! http://wan.or.jp/reading/?p=8279
第3回 こんなに違う! 公正証書遺言がある/なしでの遺族の負担 http://wan.or.jp/reading/?p=8515
第4回 パートナーに全財産は残せない? 遺留分ってなんだろう? http://wan.or.jp/reading/?p=8773
第5回 事実婚(同性パートナーを含む)子なしの場合の遺言書 http://wan.or.jp/reading/?p=8965
第6回 事実婚(同性パートナーを含む)子ありの場合の遺言書 http://wan.or.jp/reading/?p=9213
第7回 おひとりさまの遺言書 http://wan.or.jp/reading/?p=9582
第8回 あなたのその遺言書、実現してくれるのは誰? http://wan.or.jp/reading/?p=9857

●生前に関する準備と死後に関する準備の両方が必要

今回は財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書の一般的な流れを時系列でまとめてご紹介しました。

自分の大切な「モノ」=「大切なパートナー」「財産」「生活」「尊厳」を守るためには、生前に関する準備と死後に関する準備の両方が必要であるということがおわかりいただけたかと思います。

次回は、財産管理等委任契約・任意後見契約・遺言書以外に必要な「死後事務委任契約」等についてご紹介する予定です。

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【文】
 金田行政書士事務所
 行政書士 金田 忍(かねだ しのぶ)
 http://www.gyosyo.info/
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カテゴリー:大切なモノを守るには

タグ:くらし・生活 / 相続 / 葬式 /