青木玲子さんがニューヨーク公共図書館のプレジデントのメッセージを紹介してくださいました。
【青木さんの紹介文】
昨年公開され話題になった映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」
ご覧になった方も多くいらっしゃるでしょう。
少し長いですが、図書館プレジデントのメッセージです。
コロナ禍、そして黒人差別事件で揺れる今、図書館は何をすべきか、明快なメッセージです。
【ニューヨーク公共図書館のプレジデントのメッセージ】
6月1日 Reflections on This Moment by Tony Marx, NYPL President
いまだかつてない事態が起きている。誰もがそう感じています。新型コロナウイルス
の感染拡大で、すべての人がたいへんな困難を強いられ、あまりにも多くの人たちが悲
劇に見舞われ続けています。
そして今、ミネアポリスで起きたジョージ・フロイドさん暴行死事件とそれに続く抗議行動が、私たちみなの心に重くのしかかっています。新型コロナウイルスは、私たちの社会に最も根深く巣くう欠陥と亀裂を増幅させ、あぶりだしています。
私たちは黒人コミュニティを支持します。そして、人種にもとづく不正義、偏見、憎悪によって国が分断されていることに心を痛めています。悲しまずにいること、怒らずにいること希望を持ち続けることが難しくなっています。無慈悲、恐怖、不安にさらされていますが、それでも堅持できるもの、信じられるものを探求する必要があります。
ニューヨーク公共図書館の使命は、多様な視点を広め、受け入れ、尊重し、安全で創造的な対話の場をつくり、すべての人に機会を提供することです。そうすることで、分断や無知、憎悪、人種差別に正面から立ち向っています。これは誇るべきことです。これはわが図書館創設時の理念であり、今も変わっていません。つまり、すべての人には学び、貢献する機会があり、尊重さるべき存在なのです。そして、他者を知る中で自分自身について知り、願わくば、ともに生きる道を見つけ、互いに相手を受けいれ、理解を深めていくのです。
私たちが暮らす市や社会には、さまざまな生い立ちや経験をもつ人たちがいます。それこそが、私たちの力の最大の源です。そこから新しいアイデアや視点が生まれ、共感が呼び起こされ、つまずきの原因にも光が当てられます。
しかしそのためには、多様性から学べることに目と耳をふさがず、他者の経験や生活にも同等の価値と意味があることを認める必要があります。社会として学びをおろそかにし、互いを尊重しなければ、私たちは人間らしさを失い、大きな悲劇につながりかねません。見識ある市民として民主主義に積極的に参画し、力を合わせて正義を磨き、求め、実現する責任が私たち一人ひとりにあるのです。この国の人種にもとづく不正義の遺産についてさらに学ぶことも、そうした責任の1つとして重要なことです。
ニューヨーク公共図書館はみなさんの図書館であり、そうした学びの実現に力を入れ
ています。私たちは可能な限りのツール、図書、資料を提供しすべての人を受け入れ、
すべての人に奉仕します。また、すべての人がお互いを尊重し、ともに、そして互いに
学びあえるよう働きかけていきます。これまでに蓄積された知見からわかることは、
私たちは惨事を引き起こしかねませんが、総体的に見るなら、ともにより良いものを
思い描き、つくりあげることもできるのです。
この125年間、私たちはみなさんと顔の見える関係のなかで(今はオンラインに限ら
れますが)、無知との闘いを導き、理解、共感、連帯を育んできました。
いま、この困難な時期にあっても、図書館の使命をいっそう強固なものにし、すべての
コミュニティとともに不正義や人種差別と闘っていきます。
お読みいただき、ありがとうございます。安全にお過ごしください。
https://www.nypl.org/ (翻訳協力:リングァ・ギルド)
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青木さんは次のようにも話しています。↓
日本の公立図書館の現状については、指定管理者制度の導入、職員の非常勤化
(女性が多い)など運営上の多くの多くの課題がありますが、まさしく
「知と公共性をはぐくむ装置」として図書館の議論は進みません。
女性センターライブラリーで仕事をしてきた経験からは、
ジェンダーの課題に関心を示さないのもずっと課題だと思っていました。
今回、コロナウィルスについてのニュース、番組であふれ始める頃、書店の店頭には、山のように即増刷されたであろう本、感染症、
歴史、哲学、経済、医学、コロンウィルス関連の図書が山と並んでいました。
書店は販売戦略ですが、その時に、図書館は一体何をしているのかと思いました。たぶん、学びたい、読みたいそれらの本は休館した図書館の書架に眠っていたのでしょう。
何か図書館からの発信情報はないかと図書館webを検索しました。今も検索しています。
そろそろ開館の準備をしている図書館の情報は、消毒と三蜜とマスクの話です。
ニューヨークからは、児童や自宅待機の際の本の案内、web読書会の案内など送られてきました。
そんな時に、プレジデントメッセージが送られてきました。
図書館員の方からは、日本の図書館長は、こんな「政治的な」発言は出来ない、という返答もありましたが、いや、これからコロナ禍後の日本の図書館を考える市民にとっても図書館員にとっても重要なメッセージだと思いました。
なお、大ヒットした映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」についての映画評は、
WANサイトに2つ掲載されております。合わせてご覧ください。
河野貴代美
https://wan.or.jp/article/show/8301
中村奈津子
https://wan.or.jp/article/show/8491
2020.06.16 Tue
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