シネマラウンジ

映画と女性と社会をつなぎます。フェミニズム、ジェンダーを視野に入れつつ、映画をとおして世界の女性の多様な生の現実にふれ、ともに語りあえるような交流の場をめざしています。新作映画評、エッセイ、対談・座談会、女性監督の言葉など、映画とさまざまに関わる女性たちの〈声〉をお届けします。

映画を語る

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映画評:『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』  河野貴代美

2019.03.28 Thu

図書館が3時間半もの長時間にわたるドギュメンタリー映画の映写対象になったのである。タイトルもそのもの「ニューヨーク公共図書館(NYPL)」。評者などは一体何を見せられるのかという半信半疑もさることながら、3時間半もじっと座って腰が痛くならないだろうかとまずは、その心配。ただ元来の本好き、現居住地選びも図書館に近いことが理由となれば、何はと

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る

『悲しみに、こんにちは』 悲しみを解放するもの  中村奈津子

2019.03.09 Sat

1993年の夏。エイズで母親を亡くし孤児になった6歳のフリダ(ライア・アルティガス)は、叔母と叔父の夫婦に引きとられることになった。大好きな祖父母や友だちに見送られ、スペインのバルセロナからカタルーニャの田舎の町へ。周囲を森にかこまれた静かな山あいの家で、叔母マルガ(ブルーナ・クッシ)と叔父エステバ(ダビド・ヴェルダグエル)、そして4歳の

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カテゴリー:DVD紹介

『ビリーブ 未来への大逆転』 性別にもとづく差別を終わらせるために  中村奈津子

2019.02.18 Mon

ルース・ベイダー・ギンズバーグは、現在アメリカの最高裁判所にいる9人(うち、女性は3人)の判事の一人である。彼女は、1993年にクリントン大統領によって任命されて以来、85歳の今なお最年長の現役だ。アメリカではJFK(ジョン・F・ケネディ)、FDR(フランクリン・D・ルーズベルト)らに続いて、「RBG」のイニシャルだけで知られている著名人

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』  力を削がれた少女が手にする野性  中村奈津子

2019.02.03 Sun

「本当は恐ろしい」という形容詞で語られることの多い、グリム童話。そこに収められた200話ほどの物語のひとつに、『手なし娘』というお話がある。――悪魔と契約を交わしてしまった父親に両腕を切り落とされ、あてのない旅に出ることになった娘が、旅の途中で王さまに見初められ、結婚をする。やがて子ども(男児)をもうけるが、またもや悪魔の策略によって、王

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カテゴリー:DVD紹介

市民映画『バリアフリーかあちゃん』によせて  石丸みどり  

2019.01.14 Mon

愛知県知多郡東浦町は、知多半島の北東部に位置する、人口約50,000人の町。平成30年に町制70周年を迎えるにあたって数多くの記念事業が行われました。その一環として、市民有志による「ひがしうら映画プロジェクト」が立ち上がり、映画の制作に取り組んできました。 町からの補助金、協賛金、クラウドファンディングなどで資金を募り、町内でオーディシ

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / イベント / 映画を語る

『ジュリアン』  愛は、言い訳にはならない  中村奈津子

2018.12.28 Fri

暴力を振るう夫から子どもと共に実家へ逃れ、離婚の申請をした妻ミリアム(レア・ドリュッケール)は、11歳の息子ジュリアン(トーマス・ジオリア)の親権をめぐって、夫アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)と争っていた。裁判では、ジュリアン自らが書いた「僕も姉さんもあいつが嫌いです。週末の面会を強制しないでください」という陳述書が読みあげられたのだが

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