シネマラウンジ

映画と女性と社会をつなぎます。フェミニズム、ジェンダーを視野に入れつつ、映画をとおして世界の女性の多様な生の現実にふれ、ともに語りあえるような交流の場をめざしています。新作映画評、エッセイ、対談・座談会、女性監督の言葉など、映画とさまざまに関わる女性たちの〈声〉をお届けします。

映画を語る

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『沈没家族』 「家族」をさぐるロードムービー  中村奈津子

2019.05.17 Fri

「うちの家/家族って、ちょっと変なのかな?」という問いは、子どもたちの多くが、一度や二度は持つものではないだろうか。それは、自分が知る範囲のよその家と自分の家が違うことを比べて抱く、素朴な疑問の一つなのだと思う。しかし、ドキュメンタリー映画『沈没家族』を作った加納土(かのう つち)監督が子どものころに抱いた「うちって変なの?」という疑問は

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る

『パリの家族たち』 「母」-ただの、特別な存在  中村奈津子

2019.05.08 Wed

フランスから、「母の日」をモチーフに描いた「母たちをめぐる物語」が届いた。原題『LA FÊTE DES MÈRES』は「母の日」の意。『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』(14)で問題を抱えた高校生たちの成長の軌跡を描き、群像劇の才能を見せたマリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督が指揮をとった。 本作では、大胆にも女性大統領からジャ

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る

卒業制作は当事者研究だった-加納 土監督作品『沈没家族』 永野眞理

2019.04.24 Wed

WANミニコミ図書館でご一緒していた加納実紀代さん、そのお孫さんの作った映画、上映後に監督と上野千鶴子氏のトークもある、と友人に誘われて予備知識を一切持たずにこの映画を観た。 ぶっとんだ!! そして土さんと、そのお母さんである穂子さんに感動してしまった。こんな子育てを思いつくなんて。こんなことができたんだ。やっちゃったんだ!!、と。そし

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カテゴリー:新作映画評・エッセイ

『コレット』 ベル・エポックに咲いた、芳しい花  中村奈津子

2019.04.23 Tue

フランス文学界で最も知られている作家のひとり、シドニー=ガブリエル・コレット(1873-1954)。20世紀初頭のベル・エポック真っただ中に頭角を現し、『シェリ』や『青い麦』『ジジ』など数々の代表作を残した。晩年の1951年、「ジジ」がブロードウェイで舞台化されたとき、まだ無名に近かったオードリー・ヘップバーンを彼女がキャスティングしたと

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映画評:『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』  河野貴代美

2019.03.28 Thu

図書館が3時間半もの長時間にわたるドギュメンタリー映画の映写対象になったのである。タイトルもそのもの「ニューヨーク公共図書館(NYPL)」。評者などは一体何を見せられるのかという半信半疑もさることながら、3時間半もじっと座って腰が痛くならないだろうかとまずは、その心配。ただ元来の本好き、現居住地選びも図書館に近いことが理由となれば、何はと

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