シネマラウンジ

映画と女性と社会をつなぎます。フェミニズム、ジェンダーを視野に入れつつ、映画をとおして世界の女性の多様な生の現実にふれ、ともに語りあえるような交流の場をめざしています。新作映画評、エッセイ、対談・座談会、女性監督の言葉など、映画とさまざまに関わる女性たちの〈声〉をお届けします。

映画を語る

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『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』  尾崎翠のおもかげに捧ぐ 中村奈津子

2018.09.17 Mon

かつて「幻の」と言われた作家・尾崎翠(1896-1971)の文章には、独特の世界観がある。彼女は、日本の自然主義文学を痛烈に批判し、感覚やイメージ、感情や心持ち(彼女の言葉を借りていえば、「頭で濾過した心臓」)がつかむ世界を大切にした。それらを平易な言葉に乗せて表現し、独自の感性とユーモア感覚あふれる、ファンタジックな作品をいくつも世に送

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『百合祭』 年を重ねるごとに、自由になるもの  中村奈津子

2018.09.03 Mon

物語の舞台は、郊外に建つレトロな洋館「毬子(まりこ)アパート」。このアパートには、69歳から91歳までの7名の女性たちが、それぞれに部屋を借りて住んでいる。ある冬のこと、81歳の戸塚さん(目黒幸子)が亡くなり、空いた部屋に一人の男性が入居してきた。20年前に妻を亡くしたという、75歳の三好さん(ミッキーカーチス)だ。 ダンディな雰囲気を

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カテゴリー:DVD紹介

『百合子、ダスヴィダーニヤ』  「さようなら(ダスヴィダーニヤ)」に込められた全力の愛  中村奈津子

2018.08.24 Fri

映画の主人公、ロシア文学者の湯浅芳子と、作家の中條百合子(のちに宮本百合子)のふたりは、明治から大正、昭和にかけて実在した人物である。『百合子、ダスヴィダーニヤ』は、このふたりが出会って、たがいに惹かれあい、困難と葛藤を経て結ばれるまでの40日間を描いたドラマだ。ノンフィクション作家の沢部ひとみが、93歳まで生きた晩年の湯浅芳子に取材をし

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カテゴリー:DVD紹介

『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』 当事者運動のひとつのあり方として見る  石河敦子

2018.08.19 Sun

昨今、LGBTとセットで話題になっていますね、「生産性」。そういえばあの杉田発言のことを「これが差別です」とツイッターで明快にフォロワーに伝えていた新井祥先生。多産な漫画家で、名古屋の専門学校で漫画の描き方も教える先生でもあり、コミカルにわかりやすく伝えることにたけた性教育のパイオニアでもあります。 頭で想像しただけの世界、つまりファ

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