こころ
相談82:会社に見切りをつけ転職を試みましたが、うまくいきません
2020.09.12 Sat
47歳の会社員です。22年勤めた会社に嫌気がさし、退職に向けた転職活動をするなかで、「女性だから無理」と言われたり、理由は書かず「採用を見合せます」という通知を何度も受け取りました。
現職は建築資材を販売している全国組織で、私は一事業所の経理募集で入りました。前職で得た知識から販売補助へ、やがて指名で物件をもらえるようになり資格も取得し、昇進もしました。ですが、職場では女性が少数なことからどうしても男性たちの補助や雑用も求められ、彼らの失敗の対処に時間を割かれ自分の仕事はないがしろになるなど、理不尽な待遇への不満蓄積により、私の彼らに対する態度がだんだん荒れてきました。
すると彼らは男性上司や他の女性に同情を求め、私が注意されるという状況となり、「実力はあるが性格に難有り」という評価をうけることとなり、すっかり人間不信になりました。
そこで見切りをつけ、既知の建築業界で転職活動を始めると、女性であることや年齢などを理由に、再就職への扉は開きません。「経理総務ではどうか」と声をかけてくださる同業者もいますが、また一般職で男性の雑用や尻拭いをするのか、と考えると気が進みません。
私は10代で父親をなくし、精神不安定で仕事が続かない姉の将来の生計を考え、その時やれる仕事に全力を傾けてきました。幼少から単身で生きるという感覚が自然だったためか、結婚に繋がらない相手とばかり付きあったり、いざそういう話になると別れる、という筋金入りの結婚嫌悪を抱いています。
そうした特殊性をもちながらでも、生きるために、今日まで目の前のことに全力をかけてまいりましたが、なんだか全てが意味のない時間だった、女性に生まれさえしなければこんな思いをもつこともなかったろうと約半世紀生きて初めてこんな思いが心を占めるようになりました。男性を凌駕する一握りの優秀な女性か、男性の扱いやすい女性しか社会には不要なのでしょうか。とても生き辛い思いを抱え、検索していたらここを見つけました。まだ人生が続くのはとても辛いです。
回答
回答82:河野貴代美さん(フェミニストカウンセラー)
それはご苦労なことでしたね。男女差別が本当になくならない現実をどうすればいいでしょうかねえ。回答者である私とて、あなたにかけてあげる言葉もなく、ともに憤慨するしかないようにすら思えます。
とはいえ、十分な理解と共感を差し出しながら、やはりこのままあなたが撤退してしまうことは、さらに差別を助長するように思われます。力のある女性がこのまま消えてしまうことは、残念以上に悔しいです。
あなたは、幼児期から自立的に生きていらして、こころから支えてもらったり、やさしい言葉の一つもかけられたことがないのでしょうね。今、それを、私があなたにお伝えしましょう。よくやってこられました!たいへんでしたね!
ずいぶん頑張ってこられたはずですから、何もかもおいてちょっとここで、お休みしてみませんか。
現在はコロナ禍で、旅もままならないでしょうが、間もなく制限もなくなるかもしれませんし、東京以外ならおできになる?短期に、温泉にでも行ってゆっくりなさるのはいかが?すぐに結論に結び付けないで、どうしたいかをゆっくりお考えになってみてください。「頑張れ」という強者の論理に聞こえたらごめんなさい。そんなつもりはありません。とにかく休んでください。
落ち込んでいるときには、何を考えてもあまりいい結果はでないでしょうから。
即刻のお手つだいにならない回答でごめんなさい。ご自愛を祈ります。
回答者プロフィール
河野貴代美
アメリカの大学院で心理臨床を学び、日米の精神病院やファミリーサービスセンターでカウンセラーとして勤務。1970年後半にアメリカからフェミニストセラピーという言葉とその実践を持ち込んだ日本で最初のフェミニストカウンセラー。1980年2月 東京に「フェミニストセラピー”なかま”」として初めての民間開業に踏み切り、その後、日本各地でフェミニストカウンセリングルームの開設を援助し、また女性センターの相談員の教育・研修等、フェミニストカウンセリングのパイオニアとして常に第一線で活躍。アフガンのカブール大学教育心理学部でトラウマの授業、メディアのために国際会議の取材等、国際的な活躍をしてきた。著書に『自立の女性学』『フェミニストカウンセリング①②』訳書に『女性と狂気』『バイセクシュアルという生き方』等多数。
タグ:仕事・雇用 / 河野貴代美 / フェミニストカウンセリング