旅をふりかえって(世界一周/世界一周)

<世界一周中のお気に入りの1枚>


ケニア、エジプト、最終地点であるタイを巡って、私の約1年間に及ぶ世界一周旅行は、3月20日に終わりました。この1年間で見たもの感じたものは多く、日々、稀有な体験の連続でした。

帰国10日後の3月30日、世界一周帰国報告会(※下記チラシをご参照ください)を開いた時のことです。世界一周のきっかけや旅行中の印象的なエピソード、海外情報などを話し終え、迎えた質問コーナー。女性の参加者から「海外一人旅をしたいのですが、女子ということもあり親から反対されています。どうすればいいでしょうか」という質問をもらいました。その翌日には、ある塾に通う高校生たちの前で世界一周について話す機会があったのですが、そこでも「女の子一人は危険だから遠出してはいけないと親から言われます。どう説得すればいいですか」という質問を受けました。

 <帰国報告会のチラシ>

私も、自分が女性だからという理由で家族に世界一周を反対されていたので、この二つの質問にはとても共感しました。「女性」という性が邪魔をして、自分のやりたいことができない。男性が一人で海外旅行をするのとはわけが違う。それは、私自身出発する前も感じていましたし、旅行中もやはりそれを痛感することが多くありました。

女一人で海外一人旅だなんて、危険だと思われるかもしれません。ましてや世界一周だなんて、無謀だと思われるかもしれません。特にそれを言い出しているのが自分の娘となれば、親が反対する気持ちも分かります。しかし、自分が「◯◯だから」という理由で何もかもを諦めていたら、自分の可能性を自ら捨てているようなものです。

大切なのは、リスクを知り、その準備や対策を徹底的にしていくことだと思います。今では海外を旅行する女性が増えたため、そのためのリスクヘッジや対策法、代替案などがネットや本には溢れています。旅人を育成するプログラムやツアー、そのためのセミナーやイベント、一人旅ではなく誰かと一緒に旅をしたい人向けには複数人で旅ができる企画やシステムなど、まだまだ知名度は低いけれども数多くのアイデアややり方があります。そういう方法の一つを知っているか知らないかでは、その後の行動に大きな差が生まれます。

この記事を読んでいる方の中には「女性であること」が障害になって、自分のやりたいことができないという状況にある方がいるかもしれません。もしかしたら「男性であること」が障害になっている方もいるかもしれません。だとしたら、どんな対策や準備をする必要があるのか、どんな代替案が考えられるのか、妥協点は何なのか、諦める前に立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

自分のやりたいことのために、戦っている女性。旅先では、そんな方々にたくさんお会いしてきました。自分の見たいものを見て、行きたい場所へ行って、食べたいものを食べる。自分の人生の可能性を信じ生きている方々が世界には多くいました。「女だもの」という言葉一つで、自分の可能性を無しにしてしまうのはもったいない。「女性でもできるんだ」ということを知ること、実現できたことを他者に知ってもらうことで広がる可能性があります。あらゆる場面で壁に当たった時、「やめようか」ではなく「どうすればできるのか」と考えることが、自分の道を拓いていく方法なのだと感じています。(佐野仁美)

<帰国報告会での集合写真(著者は前列右から5人目)>


佐野仁美さんのエッセイは今回で終了します。お読みいただき、どうもありがとうございました。


「365日で世界一周!~女子大生バックパッカーの旅」過去記事はこちらから。

[vol.11]旅の終わりを目前にして思うこと(47ヵ国目/世界一周)

[vol.10]パラグアイ・イグアス日本人居住区にて(39ヵ国目/世界一周)

[vol.9]「ポリアモリー」という恋愛関係(33ヵ国目/世界一周)

[vol.8]変化するアニメ(帰国中の日本にて)

[vol.7]ラトビアで考えた、女性医師の割合ランキング(31ヵ国目/世界一周)

[vol.6]ヨーロッパで考えた、「多様な性」のこと(23ヵ国目/世界一周)

[vol.5]女性バックパッカーだからこそ感じること(15ヵ国目/世界一周)

[vol.4]スリランカで感じた「教育」の力(7ヵ国目/世界一周)

[vol.3]化粧をするのもしないのも、私の自由(6ヵ国目/世界一周)

[vol.2]タイの「耳長族」と「首長族」(3ヵ国目/世界一周

[vol.1]「"veryberry"でのインターン体験」~カンボジアにて(1ヵ国目/世界一周)