著者・編集者からの紹介
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信田さよ子著『「性」なる家族』 力関係としての「性」をカウンセリングの現場から読み解く 信田さよ子
2019.05.28 Tue
性虐待の問題は裁判判決の問題として近年注目を浴びている。本書では夫婦間の性(不妊治療、高齢者の性)をはじめとして、性暴力(痴漢、セクハラ)や性虐待の背景などをカウンセリングの経験に立脚して述べた。 書き進めるほどに、性暴力はもっともプライベートな問題でありながら、構造としては驚くほど国家の暴力と似ていることに気づかされた。とかく…
タグ:DV・性暴力・ハラスメント / 本
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松永美穂著『アルプスの少女ハイジ』 「クララが立った」だけじゃない 松永美穂
2019.05.27 Mon
ひょんなことから、テレビでハイジの話をすることになった。ハイジといえば、スイスの山から大都会フランクフルトに連れていかれ、ホームシック&夢遊病になった少女である。その後、山に戻されて元気になるが、今度はフランクフルトから足の悪いクララがやってきて、ハイジの励ましを受けて奇跡的に歩けるようになる。まあ、だいたいそんなストーリーが思い浮かぶ…
タグ:本
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跡見順子著『「細胞力」を高める 『身心一体科学」から健康寿命を延ばす』 細胞力を高めて、いつでも闘える女になる 跡見 順子
2019.05.24 Fri
おかしいと思ったら声をあげる。変だと思ったら立ち上がる。不当な扱いをされている人を見たら立ちはだかる。頭にきたら怒る。これまで日本人女性に無かった強さです。でも、よく考えてみてください。声を出すのも、立ち上がるのにも、怒ることでさえ、身体とエネルギーを使う「行動」です。こうしなくちゃいけない!と思った時に、すぐに行動できる身体を持つこと。…
タグ:本
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『沖縄の米軍基地を「本土」で引き取る! 市民からの提案』 基地を引き取ることと性暴力とのディレンマ 里村和歌子
2019.05.24 Fri
本書は、全国で基地引き取り運動に携わる市民たちが協力して作り上げた一冊である。フェミニストでもあり、編者の一人でもある筆者が、僭越ながらこの場を借りて本の紹介をしてみたい。 基地引き取り運動とは、全国の米軍専用施設の7割が沖縄に集中している現状について、「本土」側の市民こそが、歴史的・政治的に沖縄に基地を押しつけている当事者なのではない…
タグ:本
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富永京子・著『みんなの「わがまま」入門』 (紹介:守屋佳奈子・左右社)
2019.05.09 Thu
なにかを強く主張し、変えようとすると、「それはわがままじゃない?」と言われてしまう。 あるいは、身近な人の行動を「わがままじゃん」と思ってしまう。 多様な人が生活するからこそ、「貧困」や「女」といった属性で簡単にはつながれず、他人と痛みを共有できない時代に、どうやって主張をして、環境を変えていくことができるのか。その方法を、中高生に語りか…
タグ:本
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チョ・ナムジュ、チェ・ウニョン著ほか『ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集』 『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者による表題作を収録! 小林圭司
2019.04.13 Sat
「ヒョンナムオッパへ」の主人公は、ヒョンナムに恋をし、精神的に支配されながら、それが暴力であるということにも気づいていない。あとからそれに気づくという小説を書きたかった。 ――チョ・ナムジュ 嫁だからという理由で、妻だからという理由で、母だからという理由で、娘だからという理由で受けてよい苦痛はない。ただ女だからという理由だけで苦しめられ…
タグ:DV・性暴力・ハラスメント / くらし・生活 / 本 / DV
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門野晴子著『Going 婆ぁ Way――昭和を生きた女たち』 ◆門野晴子
2019.04.04 Thu
書 名 Going 婆ぁ Way――昭和を生きた女たち 著 者 門野晴子 発行元 静岡新聞社 刊行日 2019年3月24日 私(著者)は米国から帰国する機内映画で、その冒頭のスーパーに釘づけになった。 「1971年、世界が変化していた。この村はまるで世界から隔離されているようだった」 2017年制作のスイス映画『THE DIVINE O…
タグ:本
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椰月美智子著『明日の食卓』 私が息子を殺したのか? どこにでもある家庭の光と闇を描いた衝撃作 辻村 碧
2019.03.23 Sat
先日、世間でも話題をさらった千葉での児童虐待死事件。職場では穏やかな人物として知られていたという容疑者の父親だが、当時10歳だった女児に対しては「しつけ」として怒鳴ったり水をかけたりしたと、事件の後に認めている。 そんな「どこにでもいるような普通の親」が子を「虐待」するという一線を越えてしまう怖さに、正面から向き合ったのが本作だ。 …
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