著者・編集者からの紹介
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宮地尚子 編『環状島へようこそ――トラウマのポリフォニー』 ◆ 木谷陽平
2021.06.09 Wed
本書『環状島へようこそ――トラウマのポリフォニー』は、2018年から2020年まで雑誌『こころの科学』(日本評論社)に断続的に連載された対談がもとになっている。すべての対談のホストをつとめるのは宮地尚子氏。長くトラウマの臨床や研究に携わってきた精神科医であり医療人類学者である。 対談のゲストは、7人の臨床家や表現者。森茂起氏、伊藤絵美氏…
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阿部正子編『訴歌―あなたはきっと橋を渡って来てくれる』 ◆阿部正子
2021.06.06 Sun
●ハンセン病療養者の命の一行詩(=短歌・俳句・川柳) もしあなたが十歳くらいの少年・少女で、親にこう言われたらどうでしょう。 「病気を治すために行くんだよ。治ったら家に帰れるからね。」親も子も、こう信じて、子は島へ渡りました。乗る船や桟橋まで一般の人とは別にされて。 *<大島丸>に乗(の)して叱られ曳航(ひか)れたる伝馬船にて着きし入所…
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ブレイディみかこ著『女たちのポリティクス』(幻冬舎新書) ◆ 羽賀千恵
2021.06.02 Wed
2016年のアメリカ大統領選でヒラリー・クリントンがまさかの敗退。ヒラリーを勝たせるぐらいならトランプに入れる。そんな「強烈な男尊女卑」が未だに存在することがはっきりしてしまったわけですが、あれから4年。カマラ・ハリスが女性で初めてのアメリカ副大統領に就任。しかも見回してみれば、コロナ禍で指導力を発揮するメルケル(ドイツ)、アーダーン(ニ…
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レジャーヌ・セナック 著・井上 たか子 訳『条件なき平等:私たちはみな同類だと想像し、同類になる勇気をもとう』 ◆井上たか子
2021.05.20 Thu
平等という言葉はあふれているが、それは実はマジョリティに利する場合にのみ許される条件つきの平等ではないのか。本書はフランスの事例を扱っているが、こうした疑問をもつすべての人に開かれている。 著者はまず、フランス憲法には「自由・平等・友愛」という標語が掲げられているが、「友愛」とは実は「兄弟=白人男性」のあいだのものでしかなく、そこからは…
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角田由紀子・伊藤和子編著『脱セクシュアル・ハラスメント宣言』 ◆伊藤和子
2021.05.11 Tue
性暴力・セクシュアル・ハラスメントを告発する運動として世界に広まった#MeToo運動。 Times Up、もう性暴力の犠牲になり、差別を我慢する客体でいる時代に別れを告げ、私たちが主体として声を上げていこう、という声が上がりました。 日本でもフラワーデモが起き、みんなで声を上げれば何かが変わるチャンスが到来しています。 そんななか、セクシ…
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佐藤瑞枝著『福田昌子とその時代――戦後改革期 女性国会議員の10年』 戦後、「女たちの国会」があったー◆佐藤瑞枝
2021.04.30 Fri
本書は、女性参政権を獲得して2回目の総選挙で国会議員となった福田昌子の足跡を辿りながら、戦後ほぼ10年間の「女たちの国会」を振り返ったものです。 戦後第1回の総選挙で39名の女性議員が誕生したことは、良く知られていますが、第2回の総選挙では、女性の当選者は15名と激減しました。産婦人科医であった福田昌子は、社会党から福岡選挙区で立候補…
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寺村絵里子編著『日本・台湾の高学歴女性―極少子化と仕事・家族の比較』(晃洋書房) ◆寺村絵里子
2021.04.26 Mon
日本と台湾は、ともに極少子化、晩婚・晩産化が進展し、社会状況においても似通った点が多い。一方で、女性活躍推進という面に目を向けると、日本は台湾と比較し男女間格差が依然として大きく、男女間賃金、就業継続、家事育児負担の面で顕著な男女差がみられる。 本書では、両国の大規模パネルデータの検証、インタビュー調査をもとに、高学歴女性の労働・家族…
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