著者・編集者からの紹介
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崎山多美著『月や、あらん』 ――「記憶の声を聴く」コトバ探しの旅 ?崎山多美
2020.09.20 Sun
ふつうに「日本語小説」のつもりであるが、日本語圏の一般読者にはなかなか読んでもらえそうもないなあ、と、著者自身がついぼやいてしまう方法で書かれた小説である。卑下しているわけでも韜晦しているわけでもなく。沖縄の「シマコトバ」といわれる「異言語」がところどころで「ごった煮」されてにごった泡ぶくを噴き、そんなコトバで語りつづけるのは、現実には…
タグ:慰安婦 / DV・性暴力・ハラスメント / 本 / DV
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沢山美果子著『性からよむ江戸時代――生活の現場から』 史料に刻まれた一人ひとり生の痕跡が、なぜか愛おしい ◆大山美佐子
2020.09.17 Thu
コロナ禍のなか、江戸時代の性の話が読まれるだろうか――。2年かけ準備してきた本書だが、いざ刊行計画にのせようかというとき緊急事態宣言が出され、書店休業、流通の不安定が生じていた。「人間そのものが問われるときだからこそ、本は求められている、だが、いまどのような本を出版すべきか、検討してほしい」、そのような社長からのメッセージを前に考え込んで…
タグ:本
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森達也 編著『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2020年前半』 日本人は忘れっぽいので、しつこいくらいに新型コロナウイルスを記述しておこう ◆谷川 茂
2020.09.11 Fri
2020年1月には、すでに世界で認知されていた新型コロナウイルス。しかし、東京オリンピックの開催にこだわり、中国・習近平国家主席の訪日を実現するため、日本政府による防疫の初動は遅れに遅れた。そして、突然の休校要請。繰り返される安倍晋三首相の「持ちこたえている」という空虚な声。緊急事態宣言の発令。給付金をめぐる政策の不備……。 100…
タグ:本
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大治朋子 著『歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか』 「自分は絶対に正しい」という思い込みが人間を凶暴にする ◆大治朋子
2020.09.08 Tue
コロナ禍に現れた「自粛警察」、過激化するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の中傷、急増するローンウルフ(一匹オオカミ)による無差別殺傷事件――。こうした攻撃者は実際に会うと拍子抜けするほど「普通の人」の顔をしている。だが自らの「正義」を語り始めるとその横顔は歪み始める。 彼らに見られるのは自分の「正しさ」を確信した…
タグ:本
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北野隆一著『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』 朝日の慰安婦報道と右派の主張をめぐる「読める資料集」 ◆北野隆一
2020.09.06 Sun
8月に朝日新聞出版から『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日選書)という本を出版しました。著者としてご案内を申し上げます。 朝日新聞は2014年8月、過去の慰安婦報道を検証した特集記事「慰安婦問題を考える」を掲載。朝鮮人女性を慰安婦にするため強制連行したとする吉田清治氏の証言を「虚偽」と判断し、記事を取り消しました。しかし謝罪が遅れたこ…
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『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』(ジョディ・カンター / ミーガン・トゥーイー 著、古屋美登里 訳) ◆島崎 恵
2020.09.04 Fri
2017年10月5日、ニューヨーク・タイムズが「ハーヴェイ・ワインスタインは、何十年ものあいだ性的嫌がらせの告発者に口止め料を払っていた」という記事を掲載した。この記事をきっかけに、全世界に#MeToo運動が広まることになる……。世界を変えた調査報道の軌跡と舞台裏を、取材にあたった記者が自ら明かした話題の一冊が、今夏刊行された。 ワ…
タグ:DV・性暴力・ハラスメント / 本 / DV
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2020.09.04 Fri
1980年代末、各家庭が新聞を購読するのが当たり前だった時代に、朝日新聞朝日歌壇欄に毎週一首以上の投稿歌が掲載され、全国にファンを獲得した伝説的な歌人がいました。それが大田美和です。 詩集預けまどろむ君の横顔にページは繰らず幾駅を過ぐ 風花って知っていますか さよならも言わず別れた陸橋の上 フェミニズム論じ面接室を出て教授は男ばか…
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