
寄附者のみなさまへ
WAN基金コロナ対策女性連帯プロジェクトにご寄付いただいた皆さまに、事業の終了のご報告と共に、改めて御礼もうしあげます。
もっと早くにと思いましたが、〆切り後もご寄附が続いたのと、予想外の金額が集まったため、寄付先を拡大することになり、そのためのやりとりに時間がかかったため、ご報告が遅くなりました。
最終的に86名の方から計903万円のご寄付をいただきました。特別定額給付金額に相当する1口10万円という高額の寄附にもかかわらず、複数口を送ってくださった方がいらっしゃる一方、10万円に満たないのだが、というお申し出にも、ありがたく応じてまいりました。その結果この金額になっております。寄附者の方には正式の領収書をお届けしましたので、年度末の確定申告の際の税額控除にお使いください。
また最初にお約束したとおり、管理経費は一切寄附金からはいただかず、集まった金額の全額を助成金に充てましたので、それを評価してくださった寄附者の方もいらっしゃいます。管理コストはWANの予算と、基金運営委員長はじめ、運営委員それぞれの手弁当のボランティアで担っております。そのため対応に時間がかかるなどご迷惑もお掛けしましたことをご容赦ください。
助成先は、1件50万計18団体に助成いたしました。通常は助成先団体を公募するところですが、WANを信頼していただいて、基金運営委員会が選定する団体に、寄付金が目標額に達し次第、優先順位をつけて迅速にお届けしてきましたから、支給が早く、どの団体からもたいへん喜ばれました。端数が出た分は最後の2団体に「残り福」としてわずかですが、積み増しいたしました。
団体の選定基準は以下のとおりです。
1)コロナ禍で窮乏した女性に直接支援が届くこと
2)法人格があり活動の実績があること
3)公的支援の対象になりにくい活動であること
4)中央のネットワーク組織よりは、地方で実際の支援活動に当たっていること
助成先の団体は「WAN基金」のサイトにアップされておりますが、以下かんたんに説明を加えます。
認定NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ
阪神淡路大震災の時から災害時の女性への性暴力被害に注目し、支援してきた団体です。
一般社団法人Colabo
都内の繁華街で家に帰れない少女たちを保護してきました。安全に泊まれる保護車両、中古で50万の購入に充てたとご報告いただきました。
認定特定非営利活動法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ
困窮するシングルマザーの支援にもっとも熱心に取り組んでいる団体です。地方にも支部がたくさんありますが、すべてにお回しすることができないのでこちらに助成しました。
特定非営利活動法人 ポルノ被害と性暴力を考える会
これまでも性風俗業に従事する女性に対する相談事業を実施してきました。コロナ禍の直撃を受けながら、公的助成を受けにくい団体を優先しました。
特定非営利活動法人 BONDプロジェクト
こちらもColaboと同じくDVや虐待で家に帰れない少女の支援をしてきた団体です。
特定非営利活動法人 アジア女性センター
名前はものものしいですが、九州を拠点に国籍を問わず多言語で女性の相談に応じてきました。日本語だけでなく中国語、タガログ語、インドネシア語などの相談窓口があります。
NPO法人子どもセンター ぬっく
ぬっくはぬくもりのぬく。家庭に居場所のない子どもたちのシェルターに加え、今年4月より自立援助ホームも運営しています。ここは少女のみが対象の施設です。
ダルク女性ハウス
薬物依存の女性を対象に自助グループを運営してきました。コロナ禍のもとで不安定な女性たちの状況がいっそう悪化したといいます。
なのはなユニオン
首都圏で非正規労働者を支援してきた地域ユニオンです。コロナ禍が直撃したのは非正規雇用者。相談件数が増えたそうです。
おきなわ子ども未来ネットワーク
沖縄の状況は一層切実です。「子ども」とありますが、主な支援対象は望まない妊娠、出産、性暴力を経験した若い女性たちです。
派遣ユニオン
コロナ解雇に遭った非正規労働者の支援をしてきました。女性の割合が圧倒的です。
はたらく女性の全国センター(ACW2)
こちらも非正規労働者の支援をしてきた団体です。法人格はありませんが、これまでの活動実績を評価して、信頼できる団体だと判断しました。
子どもシェルターモモ
岡山を拠点に活動する子どもシェルター。子どもの貧困は親の貧困、とりわけシングルマザーの貧困です。地域に密着して活動してきた実績を信頼しました。
性暴力救援センター・大阪SACHICO
大阪拠点の性暴力支援のワンストップセンター。各地にありますが、WANの関係者が活動の内容をよく知っていて信頼できる団体だと判断しました。
CPAO(子育ちサポート 大阪)
制度の枠からはずれる子ども支援活動をしている実績と信頼のある大阪拠点の団体です。子ども支援は、その実子どもを通じてその親、多くはシングルマザーを支援する結果につながっています。
しまね性暴力被害者支援センターさひめ
性暴力被害者支援のワンストップセンターです。コロナ禍でDV、虐待が増える可能性に対処しておられます。
特定非営利活動法人いくの学園
DVと虐待を受けた女性のシェルターのみならず、シェルター退所後の生活回復支援事業所を運営していましたが赤字が続き、コロナ禍の影響もありやむをえず支援事業所は閉所となり、電話相談に一層力を入れておられます。
自立援助ホーム ミモザの家
児童養護施設を年齢制限で出なければならなくなった若い女性のための援助施設です。彼女たちもアルバイト先や職を失いました。
ごらんいただいたように、マスメディアが報じる支援団体よりは小規模で、地方に分散し、かつ女性寄りの支援を続けてきた団体を優先的に選んできました。もちろん他にもある地方で地道に女性支援の活動をしていらっしゃる団体に、わたしたちの目が届かなかった可能性は、お詫びしなければなりません。
この事業は基金運営委員会にとってたいへんやりがいと手応えのある事業でした。寄附金が集まるだろうかという不安からスタートしたこの特別プロジェクトは、目標額の500万を超え、助成対象の団体数を増やすといううれしい悲鳴を上げる結果になりました。
それもWANを信頼して、貴重なお金を託してくださったみなさま方のおかげです。
わたしたちはこれを「市民的再分配」の試みと考えました。政府ばかりが「再分配」のエージェントではありません。たとえ小規模でも、市民のあいだで必要なひとへ必要なお金をまわすしくみを作ろうと思いました。そしてやればできる!という手応えを得たのが、今回の大きな収穫でした。この「市民的再分配」という用語は、他の所でも引用して使われておりました。この考え方が拡がり、定着することを願っております。
WAN基金では今後も時宜に応じて、女性のあいだに必要なお金と資源を配分するという事業を継続してまいります。どうぞWANサイトをチェックしてみてください。
今回の寄附者の方たちに非会員の方が多かったことは、望外の喜びでした。非会員の方たちには今後、会員になってWANを支えていただければ幸いです。
またWAN基金だけでなく、NPO法人WANの活動に対してもご支援をたまわれば幸いです。
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