以前も、本エッセイにて綴った札幌市の2歳児の子ども虐待による死亡事件、札幌市民に大きな悲しみを記憶に残し、今日、まさに事件発覚から2年目を迎える。
#19【札幌市2歳児虐待死事件とネウボラ】
https://wan.or.jp/article/show/8454

(写真)2019年6月毎日新聞掲載
コロナ禍の1年を経て、私たちは目下の支援に大いに追われてきた。
目の前で孤立に苦しみあえぎ、たくさんの困窮する子育て家族たち。
「仕事を失い、もう米がない」「食料がほしい」とLINEの相談室に駆け込んできた数件の家庭。
一斉休校で仕事を失うも、「自分で辞めたんです」とアンケートに答えるたくさんの家庭。
まだまだ相談事例は書ききれないほどある。
そんな中訪問事業を展開し、玄関を開けた家庭の孤立の様相は凄惨とも言えたかもしれない。
孤立しているので、困難に気づかない状況なのである。
孤立しているから、困難だと思っていない・困難を自分のせいだと抱え込む・正しい情報を得られていない。
このような状況にあるときには、もう、直接玄関をたたいて会いに行くしかないのである。
みんな真面目で真面目で一生懸命やっている。
なぜ、行政はできること、やるべきことをやらずに堂々としているのであろうか。
なぜ、NPOの私たちのような数名のコアスタッフが隙間の時間で活動するようなことをただただ傍観しているのか。

(写真)2019年HTBイチオシ!で報道
必要なのは、予防的支援の仕組みづくりなのである。
その予防的支援を実現できるのは札幌市だけなのである。
昨年の支援活動で、私たちではできない壁がとてもとてもたくさんあった。
この2年前もメディアが大いに指摘してきた。
『連携』について
だ。
明らかに行政の保健師が必要なケース。
第一報を受けて即座に保健所に通報した。
しかしながら、『コロナの感染疑いがある』という現象から、子どもの担当部署は『うちじゃない、何もできない』という回答にとどまる。
その後、他機関と連携しながら、安否を確認したり食料を提供しながら家族を見守るも、様々な状況の悪化を繰り返しながら、地域の担当保健師とつながった時には信じられないことに、あっという間に半年も経っていた。
これと同じ。
札幌市はいつでも関係ないという。
連携先同士であっても、連絡も数日後が当たり前なのである。
札幌市が何もしないから、結果、私たちがどんなに必死に支援に奔走しても、その権限のない私たちは、当事者をたらい回しにしてしまう状況に陥ってしまうのである。
切れ目ないためのハブになろうとしたが、このように残念な結果しか生み出せない、貯蓄のない私がボランティアでこの案件の連絡やりとりや当事者のカウンセリングをしているのに、たくさんの給料をもらって専任しているはずの職員は何をやっているのだろうか。
この状況こそがそもそもおかしいのに。許せない気持ちにしかなれない。
札幌市の秋元市長は職員に対して、『二度と起こさない』という気持ちをメールで一斉に配信したという事実は有名であるが、気持ちだけでその仕組みが変わるものではないのである。
仕組みが変わる為には、問題があったことを是正するための仕組みを新たに作らなければならない。
コンピューターはこんなに毎回穴をふさぐための更新プログラムが実施されるではないか。
気持ちだけで変わるものであれば、コンピューターにこんな更新パッチをあてる必要だってないのである。
社会だって同じだ。
こんなに具体策のないものが私たちの信じている政治であったのだ。
科学的な知見などまるで必要ないのである。
やったふりをしていればよいのだから。
札幌市は原因追及の報告書を研究者から受け取り、昨年のコロナ禍、市長と研究者が受け取る写真を撮るというだけのパフォーマンスがあった。
報告書の内容はこの2年前の事件よりももっと前、その数年前にも起きている男の子の事件のケースと状況は何ら同じなのである。
調査する必要がないくらい明らかだった。
専門家らは同じケースである報告書を1年もかけて作り、それを受け取っただけで、具体的な仕組みの改善は何もしない札幌市。
どんな政策もそうだ。外側だけは立派そうに見せておきながらその中身はいつだって空っぽなのだ。
そんな、パフォーマンスはもう見飽きた。もううんざりだ。
私たち子育て当事者が、保健センターで健診を受けた時、困って相談窓口に行ったとき、嫌な思いをしてきた、おかしいなと漠然と思いながら、通過してきた様々なこととそのからくりはほとんど何もかも同じなのである。
このエッセイのアップされる前日には、コロナの待機中の患者が連携不十分でお亡くなりになっている。
これも同じフレームのせいだ。
これを『札幌市の体質』と相変わらず何もしないのが札幌市なのだ。
先のエッセイでもふれたように、議員が動き、国が動き、動かないのが札幌市だ。
フィンランドのネウボラをやる。
そう立ち上がったとき、子ども未来局の成り立ちを語ってくれた有識者がいた。
~札幌市は最後まで動かなかった。~
札幌市の子ども未来局は鳴り物入りの大事業だったそうだ。
ようやく動いたものの、その『体質』の通りに形だけであった。
結果、今の子ども未来局は存在だけ子どもの未来を語っているが特には何もしない部署になっている。
札幌市では、枠組みを作った人の評価になり、それが実績になる。
この評価と人事こそが、札幌市の最大の誤りである。
この人たちの評価のために、私たちの願う事業は興らず、事なかれ主義の責任の所在も同意も意思決定もない分散型組織が札幌なのである。
同意と意思決定がない分散機関なのだから、その同意をつくる仕組みを創ればよい。
原因が明らかであるのに、私たちが泣き寝入りするしかない理由はなんなのか。
本当に悔しい。

コロナ禍の活動で明らかになったこと。
①雇止めと収入の低下という、貧困を生み出す状況がひとり親、ふたり親に関わらず、家庭環境を悪化させるという図式が明らかになった。
②雇止めと収入の低下を起こさないことが一番であるが、雇用主に対してもこのコロナの影響による補償が充分でなかった。
③そして、雇止めと収入低下が起きた時のために行うべきことが福祉なのであるが、その福祉も補償が充分ではなかった。
真面目で勤勉な私たち日本人、特にこの地の札幌の子育て家庭は、仕事を選ばないということで、非正規雇用につながり今一生懸命働いているために、ますます子育てに関わる情報が伝わっていない。また、その家庭環境の情報が支援者である私たちにも伝わらない。ネットの情報が多すぎて見つからない。
そんなブラックボックスの状況がわからないまま、子育てはより孤立し、その少数派である私たちの声はかき消されていく。
ますます声がない事態こそが緊急事態なのである。
それにも関わらず、保健センターは軒並み乳幼児健診を当たり前のように中止している。
この事態の裏で困っている人達がたくさんいるのを私たちは実際にたくさん見てきた。
今年度は福祉のためのコロナ禍活動予算の話すらまだ出てこない。
札幌市の福祉は非正規雇用なのである。
私も務めていた巨大なコールセンターや粗悪な環境の仕事が福祉なのである。
コールセンターはこれからAI化により、その受け皿も今後はなくなっていくであろう。
札幌市はこれからどんな福祉に依存するのか。
人間をねじかなにかの部品のように、検品し納品する派遣やパートの仕組み。
私はその中にはまれないことを息苦しく思っていたけれど、それは間違いだった。
本来の人が人らしく生きるための雇用を創り、経済を成長させて、その上でも足りないところを補う事が福祉なのである。
そのことを明日、皆さんにお伝えする。
たくさんの子育て家族が集まってくれるようだ。
子ども虐待防止、オレンジリボン運動。
子ども虐待の悲劇は、札幌市が生み出している。
繰り返しの構造が変わらない限り続くものであり、今まさに子育てに苦しむ私たちの課題とまったく同じ構造なのである。
子ども虐待による悲劇を止めるためには札幌市が変わるしかない、声をあげても変わらないかもしれない。
それでも諦めない。
この北海道の人口は550万人と言われていたが、ついに今年530万人との統計がでた。
300万人になるまであと20年だ。
その時私たちは60代に差し掛かる。
40代に差し掛かった、今だって貯金なんてない。
幸せな老後は残念ながら描けない状況であるが、それ以上に負の遺産としてこの事態を受け取るのは私たちの子どもの世代なのだ。
世の中の無関心が生み出した、私たち氷河期世代の困難。
それが子どもたちに大きな影を落とす。
それでも、なんとかしようする大人たちがいたことをこの未来に残したい。
子どもたちに未来は変えられる証明をしたい。
手をつなぐ子育て、札幌市で実現しよう。
声をあげても何もならないかもしれない、でも、声をあげなければ気づいてすらもらえない。
声をあげたら変わることもあるかもしれない、そんな私の5年間だった。
男性の育児休暇はちょうどこの記事を書いている前の日大きく前進した。
あれも北海道のネウボラシンポジウムに取り上げたのは2年前だった。
#17【パパ育休なにそれおいしいの】
https://wan.or.jp/article/show/8360
熱意が伝われば動いてくれるヒーローが現れる。
私たちの想いを強く多くの人にしってもらえますように。
オレンジのリボンに願いをかけて。
子ども虐待防止オレンジリボン運動札幌開催
https://ameblo.jp/goshima-erina/entry-12678541028.html
ファミリー支援INV協会 代表理事 五嶋耀祥(安倍絵里奈/五嶋絵里奈)
2021年4月活動名を改名しました★
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#20【経営者という途(みち)】
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#22【40歳を迎えて】
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